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     【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.199


                       2024/4/13


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★アメリカ諜報のすごさ(?)がよくわかる映画



全世界の裏RPE読者の皆様、こんにちは!

北野です。



もうすぐ、イランとイスラエルの直接の戦争がはじまるかもしれません。

バイデンさんがそう言っています。

『共同』4月13日。



〈イランの報復攻撃、間近か 米大統領「やめろ」と警告
共同 4/13(土) 4:54配信
【ワシントン、エルサレム共同】バイデン米大統領は12日、
イランによるイスラエル攻撃が「すぐにでもあり得る」と述べた。
「やめろ」とイランを警告し「米国はイスラエルの防衛を支援する」
と強調した。イランは在シリアのイラン大使館がイスラエルに攻撃
されたと主張し、報復を宣言しており、緊張が高まっている。〉
ーー


これについて、表メルマガで背景など解説しようと思ったのですが。

比較的最近書いたので、やめておきます。

なぜ、アメリカ、イスラエルとイランは戦争に向かっているのか?

その根本的理由を知りたい方は、こちらの記事をご一読ください。

https://www.mag2.com/p/news/596322


今回は、アメリカ、イスラエルとイランが戦争に向かう理由ではなく、


なぜバイデンは、「イランによるイスラエル攻撃が
『すぐにでもあり得る』」と公言できるのかを考えてみましょう。

これ、当たり前ですが、「諜報機関から情報を得ているから」です。

CIAを中心とするアメリカの諜報機関、どうなのでしょうか?

ここ数年「復権してきている」という感じがします。

きっかけは、2022年2月24日のウクライナ侵攻直前でした。

プーチンもラブロフも、「ウクライナ侵攻などありえない!」
とウソばかりついていました。

ところがアメリカ諜報は、
「ロシアがウクライナ侵略の準備を進めていること」を
正確につかんでいました。

そして、侵攻がはじまる1カ月前には、すでに
在ウクライナ・アメリカ大使館の職員を退避させています。

『ロイター』2022年1月24日。


〈米、在ウクライナ大使館職員の家族に出国命令 ロシア侵攻に備え
ロイター 2022年1月24日
[ワシントン 23日 ロイター] - 米国務省は23日、
ロシアが軍事行動を取る恐れがあるとして、在ウクライナ大使館職員の
家族に出国を命じたと発表した。また、米政府職員の自主的な出国を
認めたほか、米国民も直ちに国外退避を検討すべきと表明した。
在キエフの米大使館は声明で、「ロシアによる軍事行動はいつでも起こり得る。
米政府はそうした不測の事態に国民を避難させる立場になく、
現在ウクライナにいる国民は適切に計画すべきだ」と警告した。〉
ーー


皆さんご存知のように、私は2021年12月から
「ロシアがウクライナに侵攻する可能性はあります」
と語ってきました。

しかし、これも皆さんご存知のように、
日本で「ウクライナ侵攻があり得る」
という人はほとんどいませんでした。

その理由は、「合理的でないから」です。

まったく合理的ではありません。

ですが、プーチンは、【 戦術脳 】なので、馬鹿げたことをするのです。

私は、28年モスクワに住んでいて、そのことをよく知っていました。


何はともあれ、アメリカ諜報は、
プーチンによるウクライナ侵略開始を正確に予測したことで、
名を上げました。


最近も、アメリカ諜報は、その正確さで世界を驚かせています。

何でしょうか?

アメリカ諜報は3月7日、「モスクワでのテロを計画がある」と
クレムリンに警告していたのです。

『読売新聞オンライン』3月23日。



〈テロに関する情報については、在ロシア米国大使館が7日、
モスクワで「コンサートを含む大規模な集会」を標的
にしたテロを起こす計画の存在を公表していた。
AP通信は、米側が露当局者と情報を共有したと伝えた。〉
ーー


これ、ロシアメディアが3月8日に報道していたので、間違いありません。

たとえば『プロエクティ』3月8日付。

出所はこちら。←

元記事をざっくり訳してみましょう。



〈3月7日夜、在ロシア米国大使館は今後2日間にモスクワでテロ攻撃の
脅威があると警告した。「大使館は、コンサートを含むモスクワの大規模な
集会を襲撃する過激派の計画に関する報告を監視している。米国国民は今後
48時間、人混みを避けるよう勧告される」と米国大使館のウェブサイトには
記載されている。さらに、国務省はロシアへの渡航の危険レベルを最大4に
引き上げたとコメルサント紙は指摘した。英国外務省はウェブサイトに米国
の警告を掲載した。金曜朝、ラトビア外務省は同胞に対しロシアへの旅行を
控えるよう呼び掛け、またこの国の国民に対してはできるだけ早く国境を
離れるか、少なくとも大規模な集会を避けるよう呼び掛けた。金曜日後半には、
主に在ロシア米国外交使節団からの情報により、韓国、カナダ、ドイツ、
チェコ共和国、スウェーデンも警告に加わった。ロシア当局はこの情報について
コメントしていない。
3月8日、モスクワでは国際女性デーにちなんだ多くのイベントが計画された。〉
ーー


ところが、3月8日、3月9日にテロは起こりませんでした。

おそらく、アメリカの警告が報道されたことで、テロリストたちは
「ヤバ!ばれてるよ。延期だ!」となったのでしょう。

プーチンは、どう思ったか?

ロシアでは3月15日~17日に大統領選がありました。

大統領選直前に行われたアメリカ諜報の警告。

プーチンは、「アメリカが、大統領選前にロシアを不安定化させるために
フェイク情報を流した」と確信しました。


そして、3月19日。

プーチンは、アメリカからの警告について発言しました。

『タス通信』3月19日付。

出所はこちら↓
https://tass.ru/politika/20283597?ysclid=lu4nhmokrv782069863

ざっくり訳してみましょう。



〈『プーチン大統領、ロシアでのテロの可能性に関する西側の発言を脅迫だと非難』

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、
ロシア連邦におけるテロの可能性に関する西側諸国の発言は完全な脅迫
だと非難した。

FSB理事会で国家元首は、

「ロシアにおけるテロ攻撃の可能性について、
西側の多くの政府機関が最近挑発的な発言をしたこと」

を回想した。

「これはすべてあからさまな脅迫であり、
社会を脅迫して不安定化させようとする意図に似ている」


とプーチン大統領は確信している。〉
ーー


ところが、警告は本物で、テロリストは「延期した」だけだった。

そして、テロは3月22日に起こったのです。

アメリカ諜報からの警告を「フェイク」と決めつけ、
警戒を緩めたプーチン自身のせいで、テロは起こりました。

自分のメンツを保つためにプーチンは、
「ウクライナ黒幕説」「アメリカ黒幕説」を拡散しています。

しかし、有力な証拠は一つもなく、語れば語るほど、
国際社会で「プーチンは息を吐くようにウソをつく」と
恥ずかしい思いをしているのです。

ですが日本には、プーチンの言うことなら、
「なんでも100%無条件で信じる人たち」が
かなりの数いることは、情けないことです。


ところで、なぜアメリカの諜報は、
プーチンのウクライナ侵略の意図を知ったり、
ISのテロ計画を知ることができるのでしょうか?

SNSを監視しているからです。

電話を聞いているからです。

メールを読んでいるからです。

プーチンはパソコンを使わず、メールも送らず、
スマホも使わないことで知られています。

しかし、プーチンの側近たちは、メールを送るし、
スマホを使っているでしょう。

側近たちのメールを読み、会話を盗聴することで、
「ウクライナ侵攻の意図」を知ることができたのでしょう。

あるいは、クレムリン内部にスパイがいるのかもしれません。


ISのテロについては、メッセンジャーアプリを監視することで、
「テロ準備のやり取り」を事前につかむことができたのでしょう。

そんなことができるのでしょうか?

もしアメリカ諜報があなたに目をつければ、
あなたの電話での会話を聞くこと、
あなたのパソコンの中身を見ること、
あなたのメールを読むことはできると言われています。


私がこう書いても、説得力はないでしょう。

全体像が一気にわかってしまう映画があります。


◆『スノーデン』


です。

これ、「事実に基づいた映画」です。

予告はこちら。↓
https://www.youtube.com/watch?v=TlrNYBpnt-M

@アマゾンプライムでは、400円でレンタルできました。


アメリカの諜報機関に勤務していたスノーデンは、
世界中の誰でも無制限に監視することができることに衝撃を受けます。

彼は、起こっていることを暴露して、ロシアに亡命したのです。

スノーデンはアメリカの暗部を暴露しましたが、
ロシアも同じことをしていることを知って、
どうやって精神の安定を保っているのでしょうか。

実に興味があります。


何はともあれ、諜報の真実を知りたい方は、この映画必見です。

これを見れば、なぜアメリカ諜報は、
「ウクライナ侵攻」「モスクワテロ」「イランによるイスラエル攻撃」
について、あらかじめ知ることができるのか、はっきり理解できるでしょう。


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