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     【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.8


                      2020/4/14


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★米ロサ、オイル三国志は、なぜ休戦したのか?



全世界の裏RPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。


裏RPE3月31号で、アメリカ、ロシア、サウジによる「オイ
ル三国志」の話をしました。

簡単に復習すると


1、新型コロナウイルスの影響で、石油需要が激減し、原
油価格が下がっている。

2、OPECと非OPECでつくられる「OPECプラス」で、協調減
産が協議された。(3月6日)

3、原油生産世界2位のサウジアラビアは、協調減産を主
張。

4、しかし、原油生産世界3位のロシアが反対し、交渉は
決裂。

5、激怒したサウジアラビアは、減産ではなく【増産】を
はじめた。

6、さらに、ロシア最大のお得意である欧州に、「ロシア
からサウジに乗り換えれば、1バレル8ドル割引しますよ!」
と提案した。

7、これを受けて、原油価格は年初の66ドルから、20ドル
まで、大暴落した。


こんな話でした。

まだ読んでない方は、こちらからご一読ください。

https://rpejournal.com/urarpe5.html

今回は、続報になります。



▼アメリカ、シェール企業が倒産



さて、アメリカのシェールオイルは、損益分岐点がバレル
40~45ドル。

つまり、40ドルを下回ると赤字に転落して、つぶれる可能
性があるという話でした。

そして、4月のはじめ、実際に倒産が始まりました。



<米シェール企業ホワイティング経営破たん、原油急落が
打撃

ロイター4/2(木) 2:25配信

[1日 ロイター]- 米シェールオイル生産のホワイテ
ィング・ペトロリアム<WLL.N>は1日、米連邦破産法第
11条(民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。

原油相場の急落による上場企業の破綻は初めて。>



焦ったトランプは、サウジとロシアの和解に動きます。

日経新聞4月3日。


<トランプ米大統領が主要産油国のサウジアラビアとロシ
アに減産を強く働きかけ始めた。

2日には両国計の減産量が日量で「1500万バレルにのぼる
可能性もある」と指摘し、両国とのエネルギー担当高官に
よる対話も進めた。

発言の背景には11月の米大統領選への焦りがある。

現在のような原油安が続けば支持基盤であるシェールオイ
ル企業の業績が悪化し、トランプ氏の再選戦略に逆風が吹
きかねないためだ。>


この動きについて、3月31日号では、

・シェールオイル、シェールガスがアメリカGDPに占める
割合は1%に過ぎない。

・しかし、シェールオイル、シェールガスは、アメリカに
とって、「戦略的に重要な部門」である。

・それで、アメリカ政府はシェール企業を救済するに違い
ない


という話でした。

トランプが直々に、シェール部門救済に動いたのです。



▼ロシアとサウジが和解



サウジの大規模攻撃に困っていたプーチンは、トランプ発
言をスルーしませんでした。



<プーチン氏、減産は可能だと言明-トランプ氏のツイー
トと共鳴

ブルームバーグ 2020年4月4日 2:58 JST

ロシアのプーチン大統領は国内石油大手企業の幹部らに対
し、原油価格の急落を反転させるために産油国は協調減産
に踏み切るべきだと述べた。

プーチン氏は世界全体で日量1000万バレル前後の減産は可
能だと言明した。

発言の様子は3日にテレビで報じられた。

前日にはトランプ米大統領が、サウジアラビアとロシアに
は生産を約1000万バレル削減する用意があるとツイートに
投稿。

ブレント原油は一時47%上昇する場面があった。>



サウジは、元々減産を主張していた。

大増産や、欧州への「乗り換え大割引提案」は、プーチン
を交渉の場に引きずりだすための作戦だった。

まさに「パワーゲーム」ですね。

こうして、ロシアとサウジ、和解の準備が整いました。

そして。



<サウジとロシア、大幅減産で合意 対立から転換

WSJ 2020 年 4 月 10 日 04:52 JST

サウジアラビアとロシアは9日、原油生産を削減すること
で原則的に合意した。

1カ月にわたる2大産油国の対立で原油価格は急落していた
が、近年にはなかった大規模な協調減産が実現することに
なった。

石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の産油国がビデオ会議で
減産を協議。

サウジは4月の生産水準から日量400万バレルを削減する。

ロシアは日量200万バレルの削減で合意した。 >



サウジは日量400万バレル、ロシアは200万バレルの減産。

大きいです。

OPECの盟主と非OPECの盟主が合意した。

それで、最終合意は、こんな形になりました。



<原油価格戦争に終止符、OPECプラスが減産で歴史的
合意

4/13(月) 4:07配信

(ブルームバーグ): 主要産油国は世界の原油生産を1
割近く削減し、サウジアラビアとロシアの壊滅的な価格戦
争に終止符を打つ歴史的な合意を成立させた。>


<石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟の主要産油
国で構成する「OPECプラス」は日量970万バレル削減
する。>(同上)


<最大の勝者はトランプ大統領と見受けられる。

トランプ氏は米国の石油生産の積極的な削減を拒みながら、
メキシコのロペスオブラドール大統領やロシアのプーチン
大統領、サウジのサルマン国王との電話協議を通じて合意
を仲介した。>(同上)



というわけで、ロシアとサウジの「オイル戦争」は、1か
月で終わりました。


協調減産で原油価格は上がるのでしょうか?

これは、「新型コロナ災がいつまでつづくか」によります。

現状、世界中の合言葉は「STAY HOME!」です。

別の言葉でいえば、

・飛行機に乗るな!
・電車に乗るな!
・工場を動かすな!
・外食するな!
・映画館いくな!
・ジムやフィットネスクラブに行くな!
・イベントするな!
・食品以外のショッピングするな!

感染するから。

これは、とても正しい。

ですが、結果として、消費とエネルギー需要は激減します。

それで、「新型コロナ災が終息するまで、原油価格の低迷
はとまらない」ということでしょう。

協調減産は、原油価格が10~20ドル台で長期低迷すること
を防ぐぐらいしか効果はない気がします。


今回は、「オイル三国志続報」でした。

現在テレビニュースの90%ぐらいは、「新型コロナ関連」
になっています。

しかし、今も世界は動いています。

RPE,裏RPEを読みながら、「終息後」に備えていきましょ
う。



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