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【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.42
2020/8/19
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★ベラルーシで革命が起こる?
全世界の裏RPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
今回は、かなり「ローカル」な話です。
ロシアの西隣にある旧ソ連国ベラルーシで、
革命が起こるかもしれません。
なんの話でしょうか?
ベラルーシで8月9日、大統領選挙が行われました。
結果、現職のルカシェンコ大統領が、80%の得票率で、
【6選(!)】を決めた。
野党勢力は、「選挙に不正があった!」とし、
選挙のやり直しを求めるデモが起こった。
@動画 8月16日のデモ↓数が多い。
https://www.youtube.com/watch?v=f4W7wC2po9M
それが、徐々に大規模化し、「革命が起こるか?」という
瀬戸際になっています。
@動画 国営企業の労働者を懐柔に来たルカシェンコ。
労働者は、「ウハディー」(でてけ!あるいは、(大統
領を)やめろ!の意味)と繰り返す。↓
https://www.youtube.com/watch?v=2wZb_Y357to
▼ベラルーシとルカシェンコ
日本ではかなりマイナーな国の話。
基本から順を追ってお話しましょう。
まず、ベラルーシ。
ロシアの西隣にある国です。
ソ連が崩壊した1991年に独立しました。
「欧州最後の独裁者」とよばれるルカシェンコさんが大統領。
この方、大統領に就任したのは、なんと26年前の1994年。
パソコンや携帯電話が一般的でなかった時代からずっと
大統領をやっている。
2004年、彼は憲法を改定し、終身大統領への道を開きました。
2006年の選挙で3選。
2010年の選挙で4選。
2015年5選。
2020年、6選を果たしました。
▼大規模デモの背景
2020年8月9日の大統領選挙後、なぜ大規模デモが起こった
のでしょうか?
まず「選挙前」から問題がありました。
有力な野党候補が、逮捕されたり、候補として登録されなかった。
つまり、ルカシェンコのライバルは、そもそも出馬できなかった。
少し細かい話になりますが。
5月29日、大統領選出馬を目指していたカリスマ政治ユ―
チューバー、セルゲイ・チハノフスキーさんが逮捕されました。
ベルガスプロム銀行の頭取、ビクトル・ババリコさんは、
大統領選出馬の意志を示していました。
彼は、6月18日に逮捕されました。
「ザ、スヴァボードゥ」(自由のために)運動のリーダー、
グバレービッチさんは6月19日に逮捕。
6月30日、中央選挙管理委員会は、
ツェプカロさん(元アメリカ大使)他、
5人の立候補者登録を拒否しました。
というわけで、ルカシェンコは、
「勝つ可能性がある人物」を事前に逮捕させたり、
中央選管に候補者登録を拒否させ、あらかじめつぶしておいた。
しかし、スヴェトラーナ・チハノフスヤカさんは、
立候補を認められました。
この女性は、逮捕されたカリスマ政治ユーチューバー、
セルゲイ・チハノフスキーさんの奥さんです。
もともと英語通訳でしたが、
今は10歳の息子と4歳の娘の子育てをする主婦。
@動画、スヴェトラーナ・チハノフスカヤ↓
https://www.youtube.com/watch?v=WKi1mp9vEKU
ところが旦那さんが、逮捕されてしまった。
それで、やむを得ず、彼女が立候補することにしました。
ルカシェンコは、「主婦は脅威じゃない」と考えたのでしょう。
だから、彼女が選挙に立候補することを許した。
結果、スヴェトラーナさんは、10%の得票率で2位でした。
選挙後、彼女は逮捕を恐れ、
子供たちとバルト三国の旧ソ連国リトアニアに脱出しました。
(リトアニアは、ベラルーシと同じ旧ソ連国ですが、EU、
NATOに加盟しており、彼女を邪険に扱うことがありません。)
「そもそも、ルカシェンコのライバルは、立候補できなかった」
これが、大規模デモ、一番目の理由です。
そして、選挙結果。
ベラルーシ人の多くは、
「ルカシェンコが80%も取れるはずがない!」と確信している。
これが2番目。
▼ルカシェンコ長期独裁政権への不満
3番目は、ルカシェンコ政権への長年の不満がある。
どんな?
まず、「26年間も一人の人物が大統領を務めていること」
への不満。
安倍総理、「長い長い」といわれますが、まだ8年です。
26年、同じ男が国の指導者でいる。
どんなにうざったいか、想像できるでしょう?
次に、ルカシェンコの政策。
ベラルーシは、
「ソ連の体制をそのまま維持した」ような国です。
「ソ連がどんな国だったか知りたければ、ベラルーシに行け!」
といわれている。
ベラルーシ人は、ロシアにも行けますし、欧州にも行けます。
ロシアは、どんどん発展している。
欧州は、もっと発展している。
若者たちは、
「ルカシェンコのせいで俺たちだけ取り残されている」
と怒っています。
▼欧米の思惑
欧米は、反ルカシェンコの大規模デモを支持しています。
ベラルーシは、欧州とロシアの中心に位置する、地政学的
に重要な場所。
ここに民主的政権ができ、ゆくゆくEUやNATOに加盟させる
ことができれば・・・・。
ロシアの脅威を減じるのに、大きな効果があるでしょう。
▼ロシアの思惑
ルカシェンコは、プーチンのいうことを素直に聞く男では
ありません。
ですが、親欧米の人物が大統領になるよりは、
まだマシでしょう。
それで、プーチンは、ルカシェンコ支持です。
ロシアとベラルーシは、「集団安全保障条約機構」(CSTO)
の加盟国。
そこには、こんな規定があります。
<両国は露主導の「集団安全保障条約機構」(CSTO)
に加盟。
同機構は加盟国に国外勢力が介在した政権転覆などの脅威
が発生した場合、軍事を含む相互援助を行うことを定める
。>(産経新聞 8月17日)
これは、「国外勢力が介在した政権転覆の脅威」にあたる
可能性がある。
(つまり、欧米が反ルカシェンコデモを支援している。)
それで、プーチンが軍事介入にGOサインを出すかもしれない。
2014年2月のウクライナ革命のことを思い出してください。
翌2014年3月、ロシアは、クリミアを併合した。
2014年4月、ウクライナ内戦がはじまった。
ロシアは、ウクライナからの独立を目指す、ルガンスク、
ドネツク州(いわゆる東部親ロシア派)を支援しました。
両州は現在、「事実上の独立状態」にあります。
実際、今回のベラルーシ騒動、最大の問題は、
「プーチンは、ベラルーシに軍事介入するのか?」
ということなのです。
おそらく現在「検討中」でしょうが、今までのプーチンの
行動を見ると、
「十分あり得る」と思えるのです。
PS
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