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     【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.414


                       2025/5/19


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★トランプ中東歴訪の成果は?



全世界の裏RPE読者の皆様、こんにちは!

北野です。



今日は、読者の磯部さまからのご質問にお答えします。

【 質問ここから▼ 】


〈北野先生

いつも興味深くメルマガ拝読させていただいております。

今日、たまたまテレビを見ていて、不思議に感じたので、メールさせていただいております。


朝の情報番組で、


トランプはサウジアラビアをロシアから引きはがすことに成功した

トランプはこれでロシアとウクライナの戦争を終わらそうと画策している

トランプがタイミングを待って、周到に準備してきた結果だ

しかも、中東諸国からのアメリカへの投資(主にAI関連と武器関連)を引き出した

トランプはさすがディールの天才(とまでは言ってないかも・・・)

19日にはトランプとプーチンの会談があるから、戦争終結に向けて動くはずだ


といった内容が放送されていました。

私にはトランプさんがそこまで「戦争終結」や「他国の利益」に興味がないように思えるので、サウジアラビアをロシアから引きはがすために画策したとは思えないのです。

今回のトランプさんの中東外遊と、アメリカにとってのディールの内容について解説してほしいです。

ついでに、教皇のまねごと写真を世界に発信した意味も何かあるなら教えてほしいです。

単なるジョークなのでしょうか???だとしたら子供じみてます・・・。〉
ーーー
【 質問ここまで ▲ 】 


トランプは5月13日から、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦を訪問しました。

結果、サウジアラビアは、アメリカに6000億ドル(1ドル145円換算で87兆円)
投資することで合意しました。

そして、サウジアラビアは、アメリカから1420億ドル(約20兆5900億円)の武器を
購入するそうです。

(@武器購入も、89兆円に含まれます。)


カタールは、アメリカ・ボーイング社の航空機を最大210機(960億ドル=約14兆円)
購入することを約束しました。

さらに、アメリカ政府とカタール政府は、エネルギー分野などへの対米投資を含む、
35兆円規模の経済協定で合意。


そして、トランプは5月15日、アラブ首長国連邦と、
総額2000億ドル(約29兆円)を超える契約をしたと発表しました。

さらに同国は、今後10年間でアメリカに
1兆4000億ドル(約203兆円)投資することを確約したそうです。


これらはすべてアメリカの【 儲け 】です。

もちろん、「トランプ外交の大勝利!」といえるでしょう。


しかし、磯部さまの質問は、そこではありません。

もう一度、質問の一部を。


〈トランプはサウジアラビアをロシアから引きはがすことに成功した

トランプはこれでロシアとウクライナの戦争を終わらそうと画策している

(中略)

19日にはトランプとプーチンの会談があるから、戦争終結に向けて動くはずだ

といった内容が放送されていました。

私にはトランプさんがそこまで「戦争終結」や「他国の利益」に
興味がないように思えるので、サウジアラビアをロシアから
引きはがすために画策したとは思えないのです。〉
ーー


少し、説明が必要でしょう。

アメリカには、中東に主要な同盟国が二国あります。

イスラエルとサウジアラビアです。

アメリカは常に、資源がたっぷりある中東を重視してきました。

しかし、オバマ政権時代、大きな変化がありました。

それが、アメリカで起こった「シェール革命」です。

これでアメリカは、世界一の産油国、世界一の産ガス国になりました。

アメリカは、「資源がたっぷりある中東」への関心を失っていったのです。


「アメリカに見捨てられた」ことを理解したサウジアラビアは、
反米の中国やロシアに接近し始めました。


しかし、トランプが返り咲くと、再び中東諸国に接近しはじめました。

主な理由は、【 金 】でしょう。

実際、トランプは、オイルマネーで潤うサウジアラビア、カタール、
アラブ首長国連邦から、多額の投資を呼び込むことに成功しました。

これは、「人権重視」のバイデンにはできないことです。

というのも、たとえばサウジアラビアは、「絶対王政」の「独裁国家」。

そして、ムハンマド皇太子には、反政府的なジャーナリスト・カショジ氏が2018年、
トルコで殺害された事件に関与していた疑惑があります。

人権重視のバイデンは、そこを突いてくるので、サウジとの仲は険悪でした。

トランプは、人権軽視なので、絶対王政の独裁国家サウジアラビアとも仲良くできます。


そして、「トランプはサウジをロシアからひきはがしたのか?」について。

トランプがサウジ、カタール、アラブ首長国連邦と仲よくしたい、大きな理由があります。


【 原油価格を下げること 】です。


これは、何でしょうか?

トランプがハリスに勝てたのは、「インフレ問題を解決する!」と約束したからです。

現職の副大統領だったハリスが、「インフレ問題を解決する!」と約束しても、
説得力が全然ありません。


ところが、勝利したトランプがはじめたのは、
世界185か国に関税をかけることでした。

当然、輸入品の値段があがり、インフレが進みます。

トランプは、国民との約束を果たすことができなくなります。

では、トランプは、どうやって「関税」と「インフレ退治」を
両立させるつもりなのでしょうか?

それが、彼の「掘って、掘って、掘りまくれ!」発言です。

つまり、石油を掘りまくって供給量を増やし、
エネルギー価格を下げることで、インフレを退治する。

そういう計画です。

そのために、サウジ、カタール、アラブ首長国連邦の協力が必要なのです。


「インフレ退治のために中東産油国の協力が必要」


これが、中東産油国と仲よくしたい「大きな理由」です。


ところで、原油価格が下がると困る男がいます。

プーチンです。

ロシアは、原油生産世界3位、天然ガス生産世界2位のエネルギー超大国。

だから、原油価格が下がると、戦費調達が難しくなる。


これは、トランプが、インフレ退治のために原油価格を下げたい「副作用」になります。

別に、「原油価格を下げて、プーチンを苦しめ、ウクライナ戦争を停戦に導きたい」
わけではないでしょう。



▼ユダヤとプーチンに挟まれるトランプのジレンマ



さて、今回の中東歴訪で、注目すべき点は、
トランプがイスラエルを訪問しなかったことです。

イスラエルは、トランプの訪問を望んでいたにも関わらずです。

なぜでしょうか?

私は、トランプが、「二人のパトロンの間で揺れている」と見ています。

なんでしょうか?

イスラエル最大の敵イランは、2023年時点で、
ウラン濃縮度90%を達成した可能性が高く、IAEAの査察を拒否しています。

つまり、イランは「核兵器保有一歩手前」なのです。

トランプは選挙期間中、「イランの核施設を破壊すべきだ!」と主張し、
ユダヤ・イスラエル勢力を味方につけて勝利しました。

そして、イスラエルは、今すぐにでもアメリカと共に、イランの核施設を破壊したい。

ところが、ここでトランプが、日和(ひより)ました。

イランとの交渉を開始したのです。

このままいくとイランは、北朝鮮の戦術を真似て時間を引き延ばし、
核兵器保有を達成してしまいます。

そして、そのイランの背後にいるのが、プーチン・ロシアです。

プーチン・ロシアは現在、北朝鮮の弾薬と兵力、
イランのドローンを使ってウクライナと戦っています。

つまり、プーチンは、アメリカ・イスラエルとイランの戦争を望んでいない。

そこで、「ポチ」であるトランプに、イランとの交渉をさせているのでしょう。

考えてみてください。

トランプは2018年、迷うことなく、一方的にイラン核合意から離脱した男です。

それが今、なぜかイラン核合意を復活させようとしている。

これが、トランプ政権のスポンサー・ユダヤ・イスラエルの意思でないのは明らかです。

そうなると、もう一つのスポンサー・プーチン・ロシアの意思なのでしょう。


トランプは、イスラエルに行けば、「一緒にイラン核施設を攻撃しよう!」と迫られる。

しかし、トランプには、それができない。

だから、イスラエルに行かなかったのでしょう。


中東情勢は、なかなか複雑です。

それで、解説もシンプルにはいきません。


トランプは、ウクライナ戦争を終わらせたいのでしょうか?

もちろん終わらせたいでしょう。

しかし、その理由は、別に「ウクライナがかわいそうだから」ではありません。


一つは、トランプから見ると、「ウクライナ支援は、ムダな出費」だからです。

もう一つは、「俺が大統領になれば24時間でウクライナ戦争を終わらせる!」
と宣言してしまったからです。

「バイデンがバカだから戦争が終わらない」といいまくってきたのに、
自分にも終わらせることができない。

これは、「恥ずかしいこと」です。


というわけで、中東情勢についてでした。

シンプルな解説にはならず、申し訳ないです。



▼ローマ教皇について



質問は、もう一つありました。



〈ついでに、教皇のまねごと写真を世界に発信した意味も何かあるなら教えてほしいです。

単なるジョークなのでしょうか???だとしたら子供じみてます・・・。〉
ーー


これですね。↓
→これ

単なるジョークでしょう。

しかし、4月21日にフランシスコ教皇が亡くなり、
悲しんでいる世界14億人のカトリック教徒には、笑えないジョークです。

いえ、非カトリックの人にとっても、なかなか笑えないジョークです。

トランプは、これで世界14億人のカトリック教徒を、
「敵にした」といえるかもしれません。


もう一つ。

ジョークではないですが、かなりまずい発言。

それは、「ガザは、アメリカが所有する。パレスチナ人にはでていってもらう」。

これは、世界20億人のイスラム教徒を敵に回す、極めてまずい発言です。


以上、磯部さまからのご質問への回答でした。


◆PS

既存のマスコミに疑問を持っている。

しかし、どうしてもプーチンやトランプを「英雄」と思えない方。

あなたの「違和感」は正常です。

というのも、現在の日本の情報空間では、
「米英情報ピラミッド」と「クレムリン情報ピラミッド」が戦っているのですから。

今のウソまみれの情報空間が嫌で、ネット上で真実を探し、
「ついにみつけた!」と思ったら、実は「クレムリン情報ピラミッド」だった。

救われないです。

では、どこに本当の情報があるのでしょうか?

ここにあります。

http://in.powergame.jp/kipg_2503_tora?cap=kmag

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