【裏】RPEJournal=======================================
【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.399
2025/4/11
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★「トランプ関税は成功する!」と考えている読者さんからの質問と回答
全世界の裏RPE読者の皆様、こんにちは!
北野です。
今回は、読者さんからの質問にお答えします。
裏メルマガ4月9日号
『★トランプ関税、ロジックは理解できても根本問題は解決されない理由』
への質問です。
まだ読まれていない方は、まずこちらをご一読ください。
↓
https://rpejournal.com/urarpe397.html
そして、「匿名希望さま」からの質問はこちら。
↓
〈北野様
メルマガを読んでいて質問があります。
トランプがかけた関税は、アメリカの税収となるので、それを減税してアメリカ国民に返せば、関税で物価が上がっても購買力は減らないので、国民からそれほど大きな不満は出ないのではないでしょうか。
そして、関税がかかっていない米国産製品が比較的安くなるので、ゆっくりでもメイドインアメリカが増えていくのではないでしょうか。
なぜ、そうはならないとおっしゃっているのか、そこを説明をしていただけると嬉しく思います。〉
ーーー
質問は二つあります。
質問1、
〈トランプがかけた関税は、アメリカの税収となるので、それを減税してアメリカ国民に返せば、関税で物価が上がっても購買力は減らないので、国民からそれほど大きな不満は出ないのではないでしょうか。〉
質問2、
〈関税がかかっていない米国産製品が比較的安くなるので、ゆっくりでもメイドインアメリカが増えていくのではないでしょうか。〉
お答えします。
▼トランプ関税で「アメリカ国は大儲け!」は勘違い
質問1、
〈トランプがかけた関税は、アメリカの税収となるので、それを減税してアメリカ国民に返せば、関税で物価が上がっても購買力は減らないので、国民からそれほど大きな不満は出ないのではないでしょうか。〉
回答
トランプさんが関税を大幅に引き上げたことで、輸入品の値段が上がり、インフレが進む。
ここまでは、誰でもわかります。
匿名希望の読者さんは、
・政府が関税で得た収入をアメリカ国民に還元する
・だから、物価は上がっても、購買力は減らない
・それで、国民から不満は出ない
と考えておられます。
もう一度、質問の一部を。
〈トランプがかけた関税は、アメリカの税収となるので、それを減税してアメリカ国民に返せば、関税で物価が上がっても購買力は減らないので、国民からそれほど大きな不満は出ないのではないでしょうか。〉
ーー
これに関して、こちらの流れをみてください。
・トランプは高い関税を課しました
→ 中国や世界中の企業が高い関税を払います
→ アメリカ政府は関税収入で大儲け!
→ アメリカ政府はそのお金をアメリカ国民に還元します
→ 高関税で物の値段は上がりますが、「還元」で国民の購買力は減りません
→ だから、アメリカ国民の不満は高まりません
すばらしいスキームだと思いませんか?
ですが、この流れには間違いがあります。
わかりますか?
答えは、
→ 中国や世界中の企業が高い関税を払います
の部分です。
これ、間違いです。
トランプは、中国を筆頭に高い関税を課しましたが、
【 中国や世界中の企業 】は【 関税を払わない 】のです。
では、誰が高い関税を払うのでしょうか?
たとえば日本製品をアメリカが輸入する場合、関税を支払うのは、
輸入した会社、つまり【 アメリカ企業 】です。
アメリカ企業が日本から100万円の製品を輸入しました。
輸入時、アメリカ企業はこれまで、
(たとえば)2万5000円の関税を支払っていました。
ところが、関税が引き上げられたので、アメリカ企業は、
(たとえば)25万円の関税を支払うことになりました。
アメリカ企業は、これまで日本から輸入した製品を
102万5000円で売っていましたが、関税が引き上げられたので
125万円で売ることになりました。
このプロセスを見ると、関税引き上げで負担が増えるのは、
【 アメリカ企業 】であることがわかります。
しかし、アメリカ企業は、関税分を自社が負担することはできないので、
製品価格が関税分高くなる。
結局、一番負担が増えるのは、【 アメリカの消費者 】ということになります。
では、「関税引き上げで日本が打撃を受ける」というのは、
どういう意味なのでしょうか?
これまでアメリカで、たとえば100万円で売られていたものが、
125万円で売られるようになる。
当然、売れなくなって販売数が減るので、打撃を受けるという話なのです。
ですが、製品を輸出する日本企業は、アメリカに関税を納めるわけではありません。
トランプ信者の人たちは、
アメリカ政府は、中国や世界中の会社からがっぽり関税をとって大儲け。
それを還元するから、アメリカ国民は不満を持たないと、【 勘違い 】しています。
ところが実際は、高い関税を払うのは、
外国製品を輸入する【 アメリカ企業 】なのです。
アメリカ政府は、アメリカ企業から高い関税をとって、それをアメリカ国民に還元する。
関税引き上げでインフレは進むが、アメリカ政府は、
アメリカ企業から得た莫大な関税収入をアメリカ国民に還元するので、
不満は持たない???
皆さん、これどうですか?
私は、まさに「ロジックは理解できるが難しい」と思います。
別の言葉でいえば、「絵に描いた餅」です。
完全に同じではないですが、皆さん、こんな例をイメージしてみてください。
石破さんが、「消費税率を引き上げて25%にします」といった。
つづけていいました。
しかし、「消費税引き上げで得た収入を皆さんに全部還元しますから、
皆さんの実質所得は下がりません。ご安心ください!」。
こういわれて皆さん、「嗚呼安心だ。物はひどく高くなるが、
どうせ戻ってくるから今まで通り金を使おう!」となるでしょうか?
匿名希望さんは、「不満を持たない」と考えておられますが、
私は「不満を持つ」と思います。
皆さんは、どう思われますか?
▼トランプ高関税でも、アメリカ製品の価格競争力がそれほど上がらない理由
つづいて2番目の質問にいきます。
〈関税がかかっていない米国産製品が比較的安くなるので、
ゆっくりでもメイドインアメリカが増えていくのではないでしょうか。〉
ーー
これ、ある程度はそうでしょう。
しかし、「アメリカ製造業大復活」とはならないと思います。
理由は、前々号で書いたことと同じです。
アメリカの賃金水準が、発展途上国と比べると、
関税で差を埋められないほど高いからです。
たとえば、アメリカの一人当たりGDPは2023年、82715ドルで世界7位でした。
同年、中国の一人当たりGDPは、12597ドルで世界71位でした。
アメリカと中国の賃金水準の差は、約6.5倍です。
トランプさんは、中国に145%の関税を課す方針です。
これでも全然足りない。
では、650%の関税を課せば、
アメリカ企業は中国からアメリカに生産拠点を戻すのでしょうか?
一部の企業はそうかもしれません。
しかし、ほとんどの企業は、「他のもっと労働力の安い国」に行ってしまうでしょう。
たとえば、人口世界一の座を中国から奪ったインドの一人当たりGDPは2023年、
2497ドルでした。
これは、アメリカの33分の1です。
では、トランプさんは、インドに3300%の関税をかけるのでしょうか?
「高い関税をかけたら、アメリカで生産する方が安くなった」とはならないこと、
ご理解いただけるでしょう。
一つイメージしやすい例を。
ユニクロの製品は、ほとんど海外から輸入されています。
では、輸入されるユニクロ製品に145%の関税をかけたら、
ユニクロは日本で生産するでしょうか?
もちろん、「100%ありえない」とはいいません。
しかし、「ほとんどありえない」とはいえるでしょう。
なぜでしょうか?
ユニクロは現在、中国、ベトナム、バングラデシュ、インドネシア、
インドなどで生産しています。
これらの国と日本の一人当たりGDPを比較してみましょう。
IMFのデータ2023年版から。
・日本 33898ドル
・中国 12597ドル (日本の約2.7分の1)
・インドネシア 4919ドル (日本の約6.9分の1)
・ベトナム 4324ドル (日本の約7.8分の1)
・バングラディッシュ 2651ドル (日本の約12.8分の1)
・インド 2497ドル (日本の約13.6分の1)
こう見ると、日本が輸入されるユニクロ製品に145%の関税を課しても、
「日本で生産したほうが安くなる」とはならないことがわかります。
既述のようにアメリカの一人当たりGDPは2023年度、82715ドルでした。
アメリカと、発展途上国の賃金水準はあまりにも違いすぎて、
145%程度の関税を課しただけでは、「アメリカ国内で生産する方が
メリットがある」とはならないのです。
以上が質問への回答になります。
▼それでもトランプの目標は正しい
トランプさん、やり方は稚拙ですが目標は正しいと思います。
日本政府も、日本国内で生産する企業を守ってほしいと思います。
たとえば、「コメの自給率ほぼ100%」は、守るべきだと思います。
これまで長年減反政策をつづけ、ついに「コメ不足」「コメ価格暴騰」に至らせた
自民党政権に強い憤りを感じます。
公立学校では、一人に一台ノートパソコンが支給されています。
これ、なぜか外国製。
少し高くても、国産、少なくとも日本企業製にするべきだと思います。
また、公的機関が太陽光パネルを設置する場合、外国製(主に中国製)ではなく、
国産にすべきでしょう。
トランプさんのように過激にやる必要はないですが、日本国も、
・精神の自立
・経済の自立
・エネルギーの自立
・食糧の自立
・軍事の自立
にむかって歩き始めるべきです。
◆PS
既存のマスコミに疑問を持っている。
しかし、どうしてもプーチンやトランプを「英雄」と思えない方。
あなたの「違和感」は正常です。
というのも、現在の日本の情報空間では、
「米英情報ピラミッド」と「クレムリン情報ピラミッド」が戦っているのですから。
今のウソまみれの情報空間が嫌で、ネット上で真実を探し、
「ついにみつけた!」と思ったら、実は「クレムリン情報ピラミッド」だった。
救われないです。
では、どこに本当の情報があるのでしょうか?
ここにあります。
↓
http://in.powergame.jp/kipg_2503_tora?cap=kmag
是非参加してみてください。
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なにとぞよろしくお願いいたします。
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★Tさまからのメール
1、
北野先生
パワーゲーム他、拝聴しております。
先生のご意見、裏付けを示すことに共感します。
さて、先生に書くのは、釈迦に説法ですが、
キーウからモスクワに移った知人からのモスクワの近況です。
たまに、(ウクライナ側から)攻撃がある。
テレビは、プロパガンダの内容ばかり。
西側の人間とわかると「ファシスト!」と怒鳴られる。
もちろん、全てのロシア人が洗脳されているわけではないと思いますが、
プロパガンダというのは、効果がありそうです。
中国の反日教育も同じですね。
良識ある中国人を話すと、習近平など、政治のことは口にしてはいけないとのことで、
肝心なところで黙ってしまいます。
日本に10年近く住んでいても(1-2年に一度は中国に短期間戻る)、その状況です。
反日教育のことを聞きたくても、話しませんね。
その人は、日本に好印象を持っているのですが。。。
2、
北野先生
いつも、パワーゲーム他、拝読しております。
北野先生には、無駄な情報かもしれません(釈迦に説法ですね)が、
追加のメールをいたします。
モスクワでのニュースは、
「フィンランドが、ロシアとの戦争の準備をしている」
「エストニアが、ロシアとの戦争の準備をしている」
が、出てきたそうです。
ウクライナのときと同じですね。
とはいえ、今はロシアが仕掛ける余裕はないように思いますが。。。
NATO加盟国ですし。。。
それと、ドローン?による攻撃が増えてきたそうです。
無駄なメールなら、すみません。
★北野から
メール、ありがとうございます!
クレムリン情報ピラミッドの「ウソ力」は、ものすごいです。
日本人でも、洗脳されている人たちがかなりいるので、驚かされます。
★北野への応援メールは
tjkitanojp〇yahoo.co.jp
(〇を@にかえてください。)
まで。
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