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     【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.384_2


                       2025/3/8


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【上級者編】★ウクライナ戦争の真実



全世界の裏RPE読者の皆様、こんにちは!

北野です。



読者の宮川さまから、こんなメールをいただきました。



〈北野先生

宮川と申します。

いつも貴重な情報と解説をありがとうございます。

さて、プーチンがウクライナに攻め入ることになった背景・理由を、
2/28の虎ノ門ニュースにて、あの伊藤貫先生が解説されていました。

ご覧になったでしょうか。

【首脳会談で激怒】トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領への
態度を変えたことについて伊藤貫さんと武田邦彦さんが話してくれました
(虎ノ門ニュース切り抜き)
https://www.youtube.com/watch?v=LRNjGKCX82A

根本的な原因として、レーニン、トロツキー、スターリンが
勝手に国境線を引いてロシア人とウクライナ人を一緒にして
しまったことがある、

そして2015年にミンスク協定を結んだが、これはプーチンを騙すもので、

NATOの軍隊としてロシアと戦争できるようにウクライナに兵器を送り訓練を行い、

2019年にはウクライナ軍によって東ウクライナ在住ロシア系住民を
1万6千人も大虐殺を行った、

それによりプーチンはこのままだとウクライナはNATOに入るし、

1200万人いるロシア系住民を見殺しにはできないので、
ノボロシアを取り戻す必要がある、

としてウクライナに攻め入ることになった、とのことです(宮川要約)。

そしてそれは日本も欧米も報道していないということなので、
情報ピラミッドで整理すべき問題かと思います。

当時のBBCの報道では、

【解説】 ロシア軍はなぜウクライナ東部を包囲しようとしているのか
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-61006821
(引用)ウクライナが東部で集団虐殺を行ったと、
プーチン氏は根拠のない非難を繰り返している。(ここまで)

伊藤先生の説を否定するようなことが書かれていました。

どちらが正しいのか、私には分かりません。

北野先生はどのようにお考えになりますか?

ご意見を拝聴したく、メールいたしました。

よろしくお願いいたします。〉
ーー


お答えします。

まず大前提として、「真実は人の数だけある」(久能整)ことを意識しましょう。

私たち日本から見る事情と、ロシア側から見る事情は全然異なるのです。

それを私たちは、「どっちが正しいのですか?」と問いますが、これは一概にはいえません。

たとえばNATO拡大問題。

ウクライナから見れば、「ロシアが怖いからNATOに入りたい」という真実があります。

一方、ロシアから見れば、
「32ヶ国の反ロシア軍事同盟があり、さらに拡大をつづけている。
止めなければ!」という真実があります。

どちらも「それぞれの真実」でしょう。

ところで、『ミステリというなかれ』の久能整君は、
「真実は人の数だけある」につづいて、「事実は一つだけ」といっています。

この場合、「NATOが拡大している」のは、誰にも否定できない事実です。

こんなことを念頭におきながら、宮川さんの質問に答えていきましょう。



★1、根本的な原因として、レーニン、トロツキー、スターリンが
勝手に国境線を引いてロシア人とウクライナ人を一緒にしてしまったことがある、

◆北野

これは、プーチンのロジックですね。

かつてウクライナは、ロシア帝国の一部でした。

1917年ロシア革命が起こり、1922年ソ連が誕生した。

その時、ウクライナは、「ウクライナ社会主義共和国」として、ソ連邦の構成国になりました。

1991年12月、ソ連崩壊。

もともともロシア帝国の一部だったウクライナは、独立を達成し、現在にいたっています。


プーチンのロジックは、「ウクライナはもともとロシア帝国の一部だった。だから元に戻すべきだ」です。

これどうですか?

私は、「バカげたロジックだ」と思います。

これが通用するなら、「北アメリカは、もともとネイティブアメリカンのものだった。
後から入ってきた白人、黒人、アジア系は全部去って、ネイティブアメリカンに
アメリカ合衆国を引き渡せ!」ということになります。


はっきりいって、「昔どうだったから」ということを、侵略の原因にするのは馬鹿げています。

一番重要で、唯一重要なのは、ウクライナが1991年12月のソ連崩壊で独立を達成し、
国際社会と新生ロシアがウクライナを国家承認したことだけです。

「昔はこうだったから」といい始めたら、国際社会はぐちゃぐちゃになってしまうでしょう。



★2、2015年にミンスク協定を結んだが、これはプーチンを騙すもので、

◆北野

2014年3月、ロシアはウクライナからクリミアを奪い、併合しました。

2014年4月、ウクライナと、ウクライナからの独立を目指すルガンスク州、
ドネツク州の「親ロシア派」による内戦が勃発。

2015年2月、和平合意、いわゆる「ミンスク合意」が成立しました。

合意によると、ウクライナ政府は、ルガンスク州、ドネツク州に幅広い自治権を認め、
「特別な地位」を与えることになっていました。

しかし、ウクライナは、この合意を守りませんでした。

「プーチンを騙すため」かどうかはわかりませんが、
事実として、ウクライナ政府は、合意を守りませんでした。



★3、NATOの軍隊としてロシアと戦争できるようにウクライナに兵器を送り訓練を行い、

◆北野

これは、ウクライナの立場にたってみる必要があるでしょう。

2014年3月、ロシアはウクライナから、クリミアを「サクッ」と奪いました。

ウクライナは、まったく抵抗することができなかった。

ウクライナ政府は、「ロシアは他の領土もきっと奪いにくる。
我々は強くなる必要がある!」と決意したことでしょう。


想像してみてください。

ある日、中国が尖閣を奪いました。

総理は、「真に遺憾で受け入れることができない!」と遺憾砲を発射するも、まったく効果なし。

日本国民も政府も、「このままだったら、中国は沖縄本島を奪いにくる!」と思うでしょう。

きっと日本は、米軍の協力を得て、自衛隊を強化し、中国の次の侵略に備えるでしょう。


ウクライナが強くなろうと努力していたのは、ロシアがクリミアを奪ったからです。

そして、覚えておきたいのは、プーチンは、「クリミアを奪う気は全然ない!」と宣言していたこと。

↓@必見証拠(英語字幕つき)
https://www.youtube.com/watch?v=1__EPqhMrFQ



★4、2019年にはウクライナ軍によって東ウクライナ在住ロシア系住民を1万6千人も大虐殺を行った、

◆北野

2019年ウクライナ軍がルガンスク州、ドネツク州でロシア系住民1万6000人を
大虐殺したという情報、少なくとも私にはありません。

しかし、2014年以降ウクライナ軍が、ルガンスク州、ドネツク州で、
ロシア系住民をたくさん殺したのは事実のようです。

私の妻は、父親がウクライナ人、母親がロシア人という、「どちらとも話せる」立場にあります。

それで、ルガンスク州、ドネツク州のことを調べてもらいました。

すると、ルガンスク州、ドネツク州のロシア系住民は、かなりウクライナのことを恨んでいる。

2022年9月ロシアに併合されて喜んでいる人がたくさんいました。


とはいえ、これも、「なぜ起きたのか?」日本国民は事情を知っておく必要があります。

そもそもウクライナ軍が、ルガンスク、ドネツクのロシア系住民を殺したのは、
【 内戦が勃発した 】ことが原因です。

では、なぜウクライナと、ルガンスク、ドネツクの内戦が勃発したのでしょうか?

これは、ルガンスクとドネツクの親ロシア派が、2014年4月に「独立を宣言したから」です。

普通、ある自治体が、一方的に独立を宣言したら、内戦が勃発します。

いい例が、ロシアからの独立を宣言したチェチェン共和国です。

プーチンはチェチェン共和国の独立を許したのでしょうか?

もちろん、許しませんでした。

チェチェンにロシア軍を投入し、チェチェン人を殺しまくって屈服させたのです。


では、ウクライナは、ルガンスク、ドネツクの独立を認めるべきだったのでしょうか?

「プーチンがウクライナの大統領だったら、独立を認めず大虐殺を行う」でしょう。

ですから、ウクライナ軍が、ルガンスク、ドネツク州のロシア系住民をたくさん殺した原因は、


「ルガンスク州とドネツク州の親ロシア派が、独立を宣言し、内戦がはじまったから」


なのです。

問題は、ここからです。

では、なぜルガンスク州、ドネツク州の親ロシア派は独立宣言したのでしょうか?

これは、【 プーチンが命令したから 】です。

イーゴリ・ギルキンという男がいます。

ロシアの連邦保安庁(FSB)の元大佐。

極右の彼は、ウクライナ戦争支持ですが、
一向に勝てないロシア軍やプーチン自身を痛烈に批判していました。

そのせいで逮捕され、現在刑務所にいます。

そんなギルキンは2014年5月から8月まで、ウクライナからの独立を宣言した
「ドネツク人民共和国」の国防相を務めていました。

彼は、ロシア紙『ザヴトラ』(「明日」の意味)2014年11月20日付で、こう語っています。



〈 私は戦争開始のトリガーを引きました。もし我々の分隊が国境を越えなければ、
ハリコフ人民共和国またはオデッサのように最後は失敗していたでしょう。
実際、現在まで続くこの戦争のはずみ車は私たちの部隊によって回されたのです。
そして、私はそこで起こっていることに個人的な責任を負っているのです。〉
ーーー



要するにギルキンは、FSBがウクライナ内戦を勃発させたことを認めている。

別の言葉で、プーチンの意向でウクライナ内戦を起こしたことを認めている。

ここ、まとめると以下のようになります。


・ウクライナ軍が、ルガンスク、ドネツクのロシア系住民をたくさん殺したのは事実である。

・しかし、きっかけは、ルガンスク州、ドネツク州の親ロシア派が、
独立宣言し、内戦が勃発したからである。

・内戦が勃発したのは、ルガンスク、ドネツクの親ロシア派が独立を宣言したからである。

・ルガンスク、ドネツクの親ロシア派が独立宣言したのは、プーチンの指示による。

・よってルガンスク、ドネツクのロシア系住民が殺されたのは、【 プーチンのせい 】である。



「ウクライナ軍は、ルガンスク、ドネツクのロシア系住民を殺した!」

という事実だけ強調すると、「ウクライナひどい!」となります。

しかし、そもそもの原因をつくったのは、プーチン自身なのです。



★5、それによりプーチンはこのままだとウクライナはNATOに入るし、

◆北野

確かに、32か国の反ロシア軍事同盟NATOは、「大いなる脅威」に感じるでしょう。

この点、ロシアの気持ちは理解できます。

しかし、NATOがロシアの脅威というのは、実は勘違いです。

北朝鮮をみてください。

2017年、核実験を行い、ミサイル実験を何度もして世界は大騒ぎになりました。

「アメリカと北朝鮮は戦争になるのでは?」と誰もが恐れた。

しかし、結局戦争は起きず、トランプは、金正恩と3回も会いました。

北朝鮮の事例ではっきりしたのは、
「アメリカは、核兵器を保有している国とは戦争しないのだな」ということです。

ロシアの核弾頭保有数は2024年時点で5580発。

アメリカの5044発より多く、世界一です。

北朝鮮を攻撃できないアメリカが、
5580発の核弾頭を持つロシアを攻撃できるはずがないのです。

というわけで、「NATOはロシアの脅威だ」というのは、プーチンの勘違いです。



★6、1200万人いるロシア系住民を見殺しにはできないので、
ノボロシアを取り戻す必要がある、としてウクライナに攻め入ることになった、とのことです(宮川要約)。

◆北野

これについては理解できますが、既述のように、そもそもウクライナ軍がルガンスク、
ドネツクのロシア系住民を殺し始めたのは、内戦勃発が原因。

そして、内戦を起こしたのはプーチン自身なので、「プーチンの責任」といえます。



そして、最後に、「善悪論の基準」について触れておきましょう。

久能整君のいうように、「真実は人の数だけ」あります。

それで、ロシアの立場にたってウクライナ侵攻を正当化しようとすれば、することができます。

しかし、「善悪」には、基準があります。

日本社会においては「法律」です。

国際社会においては、「国際法」です。

国際法では、合法的な戦争は二つしかありません。


一つは、「自衛戦争」です。

ウクライナは、ロシアを先制攻撃していません。

だから、ロシアのウクライナ侵攻は、「国際法違反の戦争」です。

一方、ウクライナの戦争は、自衛戦争で合法です。

また、ハマスは2023年10月7日、イスラエルを攻撃し、1200人を虐殺しました。

これに反撃したイスラエルの戦争は、合法です。

(やりすぎて批判されていますが。)


合法的な戦争、二つ目は「国連安保理が認めた戦争」です。

たとえば、1990年の湾岸戦争は、合法です。

しかし、2003年にはじまったアメリカのイラク戦争は国際法違反の戦争です。

ロシアのウクライナ戦争は、もちろん国連安保理で承認されていません。

だから、国際法違反の違法な侵略戦争です。


以上、ウクライナ戦争の真実(上級者編)でした。



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★森川さまからのメール


北野様

いつも有益な情報ありがとうございます。

メールマガジン読者の森川と申します。

今日のメールマガジンで気になる記述がありましたのでメールさせていただきます。

現在の日本ですが、集団的自衛権行使可能と言っても実際には殆ど使えないようです。

産経新聞の記事のURLを付けますので一度ご確認頂けると幸いです。

https://www.sankei.com/article/20250307-6S7RWD7D2RM3DGGMZH4MWWUNEQ/
?utm_source=newsletter&utm_medium=evening&utm_campaign=20250307&utm_
content=news


まずは憲法改正、続いて関連法案の充実が喫緊の課題かと思います。


★北野から


ありがとうございます!

おっしゃるとおりだと思います。



★北野への応援メールは

tjkitanojp〇yahoo.co.jp

(〇を@にかえてください。)

まで。



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