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【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.308
2024/11/2
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★自民党が10数年に1度沈む理由
今回の選挙では、石破自民党が惨敗しました。
自民党が負けるのは、今回が初めてではありません。
日本政治の歴史を見るに、1955年から1993年まで、
ずっと自民党政権がつづいていました。
38年間です。
これは、なんでしょうか?
1955年から1990年まで、日本経済は、
世界から「奇跡」と呼ばれるほどの成長をつづけていた。
それで、国民も「自民党政権でいいじゃん!」ということだったのでしょう。
しかし、1990年にバブルがはじけた。
GDP成長率を見ると、1990年4.84%、1991年3.52%、
1992年0.9%、1993年マイナス0.46%。
まさに、「日本経済は死んだ」という感じだったのです。
そして、1993年、1955年以降ではじめて
「非自民政権」が誕生しました。
総理になったのは、日本新党の細川護熙さんです。
その後、新生党の羽田孜、社会党の村山富市さんが、
総理大臣を務めました。
非自民総理は、細川、羽田、村山の3人。
そして、非自民政権は1993年から1996年までつづきました。
3年間です。
村山さんの後は、自民党の橋本龍太郎政権が誕生。
また、自民党政権がずっとつづくことになりました。
次に政権交代が起こったのは2009年です。
前回の政権交代から16年後。
非自民政権が終わってから13年後のことです。
何が原因だったのでしょうか?
麻生太郎さんが総理大臣になったのは2008年9月24日。
2008年9月15日にリーマンショックが起こり、
世界は「100年に1度の大不況」に突入していました。
麻生さん、ある面アンラッキーでした。
2009年のGDP成長率は、なんとマイナス5.69%。
こういう超厳しい経済状況下で、麻生自民党は、衆議院選挙で敗北。
そして誕生したのが、民主党鳩山政権だったのです。
鳩山政権が誕生した時、私は一時帰国して日本にいました。
「すごい盛り上がってるな」と驚いたのをよく覚えています。
「非自民政権」は、鳩山さん、菅さん、野田さんとつづきました。
そして、2009年から2012年まで3年です。
前回の非自民政権は、細川、羽田、村山3人の総理で3年間。
次の非自民政権は、鳩山、菅、野田3人の総理で3年間。
興味深い「偶然の一致」です。
さて、2024年10月に実施された衆議院選挙で自民党が惨敗しました。
前回の政権交代から15年後。
前回の非自民(=民主党)政権が終わってから12年後のことです。
この数字も、なんだか似通っていますね。
前々回の政権交代前には、「バブル崩壊」がありました。
前回の政権交代前には、「100年に1度の大不況」がありました。
今回の自民惨敗の前には、「新型コロナパンデミック大不況」と
「ウクライナ戦争大インフレ」がありました。
結局、政権交代や自民党が選挙で惨敗するのは、
「経済的要因が関係している」ことがわかります。
もっといえば、「経済危機に効果的に対応できなかった」ことが
関係しているのでしょう。
自民党政権はバブル崩壊後、日本経済を
復活させることができませんでした。
麻生自民党政権は、「100年に1度の大不況」を
乗り切ることができませんでした。
岸田自民党政権は、「新型コロナパンデミック大不況」
「ウクライナ戦争大インフレ」で国民が苦しむ中、
「防衛増税」「異次元の少子化対策増税」「脱炭素増税」を打ち出し、
国民を憤慨させました。
とはいえ、今回の選挙、自民党は敗北しましたが、
政権交代は起こらない感じになっています。
2009年の選挙で、民主党は308議席を獲得し圧勝した。
しかし、2024年の選挙で、立憲民主党は148議席で、
2009年と比べると半分以下です。
これは、2009年から2012年の民主党政権がひどすぎた後遺症でしょう。
ちなみに昔の映像をみると、2009年の盛り上がりはすごく、
今回とは全然違うことがわかります。
↓
https://www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0009030352_00000
惨敗したとはいえ、自民党が第1党の地位をキープしています。
最初の衝撃は大きかったですが、石破さんは「野党はバラバラだから、
押し切れる」と思っていそうです。
ですが、「これで大丈夫」と思わない方がいいでしょう。
まだまだいろいろありそうです。
日本の政治は、1955年以降、事実上
「自民党の一党独裁だった」といえるでしょう。
しかし、1993年、2009年、2024年と、
自民党は時々選挙で大敗しています。
それは、日本の民主主義が健全に機能している証拠で、
「とてもいいこと」といえるでしょう。
世界中のどこを見ても、【 長期政権は腐る 】という共通性があります。
プーチンは2000年から2024年まで、
ロシアを支配しています。(2008年~2012年は首相だったが。)
大統領選挙も下院選挙も、最初から結果が決まっていて、
アメリカや日本のような面白さは全然ありません。
フリーハンドを手に入れたプーチンは、
「1週間ぐらいで勝てる」と妄想して、ウクライナ侵略を開始しました。
だから彼は、ウクライナ戦争を「戦争」ということを禁じ、
「ウクライナ特別軍事作戦」と呼ぶよう命令したのです。
「これは戦争なんて大げさなものじゃない」という意味。
ところが、戦争はすでに2年9カ月もつづいています。
予想外のウクライナの抵抗に驚いたプーチンは、
SNSに「戦争反対!」と投稿したり、プラカードをもって町に出る人を、
ことごとく逮捕させています。
まさに「長期政権は腐る」の典型がロシアです。
自民党も長期政権になると腐るのです。
腐るから国民は嫌気がさし、10数年に1度、自民党は選挙で大敗します。
それでいいのです。
このプロセスがなく、強権的に政権を維持するようになれば、
北朝鮮、中国、ロシア、ベラルーシ、その他の独裁国家、
なんちゃって民主主義国家のように、自由も人権も全然ない
国になってしまいます。
だから、自民党が負けてよかったのです。
日本では、民主主義が正常に機能している証拠です。
自民党、これで反省すれば甦ります。
反省しなければ、参議院選挙でも惨敗し、
さらに追い詰められていくでしょう。
しばらくゴタゴタはつづくでしょうが、
日本は長期的にどんどんよくなっていくでしょう。
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