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【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.24
2020/6/3
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★トランプが【G11】をつくる目的は?
全世界の裏RPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
トランプさんは、G7に4か国加えてG11にしたいそうです。
▼G7をG11にしたいトランプ
どういう話でしょうか?
<G7サミットを9月以降に延期、4カ国追加も トランプ米大統領
5/31(日) 12:20配信
トランプ大統領は主要7カ国首脳会議を、9月以降に延期
する方針を明らかにした
(CNN) トランプ米大統領は30日、6月に米首都
ワシントンでの開催を目指していた主要7カ国(G7)首脳
会議(サミット)を、9月以降に延期する方針を明らかに
した。
またG7構成国に加えてロシア、オーストラリア、インド、
韓国も招待したいとの意向を示した。
トランプ氏は大統領専用機内で記者団に「G7は世界の
現状を反映しているとは思えないので延期する。
国のグループとして非常に時代遅れだ」と語った。
G7は米国、カナダ、フランス、英国、ドイツ、イタリア、
日本の7カ国で構成されている。>
トランプさんは、G7に
・インド
・ロシア
・オーストラリア
・韓国
を加えてG11にしたいそうです。
理由について彼は、
「G7は世界の現状を反映しているとは思えない」
としています。
かつてG7は、世界を牛耳るパワーをもっていました。
しかし、力が衰えてきた。
「世界を運営できる力がない」こと、20年前から認識され
ていました。
それで1999年からG20の財務大臣、中央銀行総裁サミット
が開かれるようになった。
G20とは、G7プラス
ロシア、中国・インド・ブラジル・メキシコ・南アフリカ
・オーストラリア・韓国・インドネシア・サウジアラビア
・トルコ・アルゼンチン・EU
のことです。
2008年、リーマンショックから「100年に1度の大不況」が
起こりました。
これをきっかけに、G20の重要性が増した。
それで、08年からG20首脳会議が開かれるようになりました。
トランプさんは、「G7は世界の現状を反映しているとは
思えない」といいます。
それなら、「G20でいいのでは?」と思えますが・・・。
G20では、ダメなのです。
なぜ?
中国が入っているからです。
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トランプは、「中国包囲網を形成するため」に「G11」を
つくりたい。
読売新聞オンライン6月1日
<トランプ氏は記者団にG7の枠組みについて「国際情勢
を反映しているとは思えない」と指摘した。
議長国として選ぶ今年のサミットへの招待国として、
ロシアとインド、オーストラリア、韓国を挙げた。
「G10かG11になるかもしれない」と語り、正式な
メンバー国になることへの期待もにじませた。
招待国を交えたサミットに関し、ホワイトハウス高官は
「伝統的な同盟国を結集し、中国の将来への向き合い方を
協議することになる」と解説した。>
「中国の将来への向き合い方を協議することになる」
これです。
中国が参加しているG20で、
・「中国からパンデミック賠償金をがっぽりとろうぜ!」
・「ファーウェイをぶっ潰そうぜ!」
・「ウイグル人100万人強制収容問題を大騒ぎしようぜ!」
・「パンチェン・ラマ解放運動を盛り上げようぜ!」
・「香港民主派を支援しようぜ!」
・「皆で台湾を支援しようぜ!」
といった話はできないでしょう?
だから、G11なのです。
▼招待された4国の意図
トランプさんが招待したのは、インド、ロシア、
オーストラリア、韓国。
この中で、大喜びなのは、オーストラリアでしょう。
サイレント・インベージョン(静かなる侵略)されていた
オーストラリアですが、最近変わりました。
アメリカの営業マンのように、世界中で反中運動を推進し
ています。
特に、欧州諸国を「反中」に引き入れる外交を展開している。
ロシア。
ロシアは、05年から、事実上中国の同盟国です。
2014年3月のクリミア併合で孤立したロシア。
以後、さらに中国への依存度が高まりました。
ですが、トランプさんは、一貫して親ロシア、親プーチン。
おそらく、「ロシアを味方に引き入れることができれば、
中国に勝てる」と理解しているのでしょう。
(リアリズムの神ミアシャイマーさん、世界一の戦略家
ルトワックさんは、一貫して「ロシアを自陣営に引き込め」
と主張している。)
トランプさんが、ロシアを味方にすることができれば
大きな外交的勝利になります。
(そういえば、アメリカは、ナチスドイツに勝つために、
スターリン・ソ連と組みました。)
一方、プーチンは、「トランプを懐柔して、経済制裁を
解除してもらおう!」と思っていることでしょう。
インド。
日本人は、「インドは、反中、親米だ」と考えているでしょう?
インドと中国には領土問題もあるので、基本その通りです。
しかし、インドは、中ロが主導する上海協力機構の加盟国
でもあります。
実際この国は、日本、アメリカ、ロシアといい関係にある。
そして、中国とも、仲が最悪にならないよう、努力しています。
それでも、トランプさんが、インドを自陣営に引き入れる
ことができれば、大きな外交的勝利になります。
日米欧ロ印豪で中国と対峙すれば、圧勝ですね。
韓国。
韓国は、アメリカと中国の間を揺れています。
文在寅は、はっきり中国寄り。
ですが、アメリカとの関係も、良好に保ちたい。
経済的理由も、安保的理由もあります。
さらに、韓国の伝統的な対日戦略は、「アメリカリベラル
を味方にして、日本を叩く」ですし。
米韓関係は、韓国が「日韓GSOMIAを破棄する!」と宣言し
てとても悪くなりました。
それで韓国は「日韓GSOMIAを維持する!」と態度を変えた。
ですが、その後も険悪な関係がつづいている。
文在寅としては、トランプと会って関係を改善したいとこ
ろでしょう。
一方、トランプは、中国から韓国を引き離して、反中陣営
に入れたい。
▼簡単ではない「中国包囲網」の形成
というわけで、トランプは、G11で中国包囲網を形成したい。
しかし、難航が予想されます。
どのような問題があるのでしょうか?
・G7内の問題
G7の中で、特に反中なのは、アメリカとイギリスでしょう。
しかし、ドイツとイタリアは、親中です。
日本、フランス、カナダは、中立的ですが、どちらかとい
うと「アメリカより」でしょう。
一番の問題はドイツです。
超リベラルのメルケルさんは、アメリカファーストの
トランプさんが大嫌い。
そして、トランプさんも、メルケルさんを嫌っています。
・ロシアの問題
プーチンは、トランプが登場するずっと前から
「自国ファースト」で徹底しています。
彼の目的は、「アメリカに行って制裁を解除してもらうこと」。
見返りは?
なし。
日本は、ロシアとの交渉で苦しんでいますが、譲歩しない、
譲歩するフリだけして実質何もしないプーチンと交渉する
のは、誰にとっても至難の業です。
・韓国
文在寅がアメリカに行く前、習近平は必ず文を脅すでしょう。
というわけで、「11か国で中国包囲網を作る」という
トランプの目標実現は、簡単ではないのです。
▼G11は日本にとってどうか?
これは、「いいこと」と言えるでしょう。
なぜか?
「アメリカが主導して中国包囲網を構築しはじめた」
これは、日本にとってとてもいいことだからです。
思い出してください。
中国は2012年11月、ロシア、韓国に「反日統一共同戦線を
つくろうぜ!」と提案しました。
この戦略の骨子は、
・中国、ロシア、韓国で、反日統一共同戦線をつくる
・日本の領土要求、北方4島、竹島、尖閣を断念させる
・日本に沖縄の領有権はない!!!!!!!
・だから日本には、沖縄も断念させなければならない
・アメリカを反日統一共同戦線に引き入れる!
でした。
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↓
https://rpejournal.com/rosianokoe.pdf
中国の戦略は、要するに
・日米同盟を破壊
・日ロ関係を破壊
・日韓関係を破壊
して、日本を孤立させ、破滅させること。
対する日本の戦略は、
・日米同盟をより強固に
・日ロ関係を強化
・日韓関係を最悪にしない
ことです。
現状、日ロ関係、日韓関係はよくありません。
しかし、アメリカが、日本だけでなく、インド、ロシア、
韓国を巻き込んで、「中国包囲網」を築こうとしている。
結果、「日本には沖縄の領有権はない!」と宣言し、
領海侵犯を繰り返す中国は、追い詰められていく。
こんなありがたい話があるでしょうか?
感情的には、「韓国、ロシアの参加には反対」という人も
多いでしょう。
しかし、大戦略的には、G11はとてもいい構想といえます。
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