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     【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.111


                      2022/1/22


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★バイデン【プーチンはウクライナ侵攻するだろう】



全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。


今日は、ウクライナ情勢のつづきです。

思い出してみましょう。

1990年、東西ドイツが統一する際、
ソ連はアメリカに一つの要求を出した。

それは「NATOをドイツより東に拡大しないこと」。

アメリカは、快諾しました。

それならと、ソ連のゴルバチョフは
東西ドイツの統一を認めたのです。

しかし、アメリカはその後、ソ連との約束を破り、
どんどんNATOを拡大していきます。

ソ連崩壊時16か国だったNATO加盟国は、
現在30か国まで増えた。

加盟国の中には、かつてソ連の一部だったバルト三国も
入っている。

しかも、NATOは止まる気配がなく、
次はロシアの隣国でこれも旧ソ連国のウクライナ、
ジョージアを加盟させようとしています。

「ウクライナがNATOに入れば、モスクワを5分で攻撃
できるようになる」

これが、プーチン怒りの根源です。


プーチンはずっと怒りつづけてきましたが、
昨年末行動にでました。

つまり、ウクライナとの国境近くに、ロシア軍を集結させた。

そして、アメリカとNATOに、
「ウクライナをNATOに加盟させない保証をしろ!」と迫った。

なぜ、この時期に?


米中覇権戦争が激化し、アメリカは中国問題に集中したい。

プーチンは、「アメリカは、台湾とウクライナ、両方で戦い
たくないはずだ。だから譲歩を引き出せるだろう」と考えた。

1月10~13日、米ロ、NATO-ロシアの協議が行われました。

結果は、双方譲歩せず、問題は解決しなかった。

そして、ロシアは、
「ウクライナ侵攻にむけた情報工作を開始した」
という話でした。

ここまで、「なんのこっちゃわからん」という方は、
バックナンバーをご一読ください。

https://rpejournal.com/urarpe110.html

今回は、このつづき。



▼バイデン、「プーチンはウクライナ侵攻するだろう」



バイデン大統領は1月19日、プーチンがウクライナ侵攻を
決断するとの見方を示しました。

「BBC NEWS JAPAN」 1月20日。


<アメリカのジョー・バイデン大統領は19日、ロシアの
ウラジーミル・プーチン大統領がウクライナに「侵攻」
するとの見解を示した。

ただ、「本格的な戦争」は望んでいないと述べた。

20日で就任1年を迎えるバイデン大統領はこの日、
ホワイトハウスで記者会見を開いた。

ロシアがウクライナを侵攻する脅威について問われると、

「私の推測では、彼(プーチン氏)は(ウクライナに)
侵攻するだろう。彼は何かしなければならないはずだ」

と答えた。>



これは、冗談ではなく、
バイデンが本当にそう思っているのでしょう。



▼ロシアがウクライナに侵攻したらアメリカはどうする?



はっきりしているのは、アメリカもNATOも、
ウクライナ軍と共に【戦わない】ということです。

理由は、「ウクライナはNATO加盟国ではないから」。

「集団的自衛権は適用されない」のですね。


では、何もしないのでしょうか?

バイデンはいいます。



<一方で、プーチン氏が西側諸国を「試す」行為をすれば、
「深刻で高い代償」を払うことになるだろうと警告した。>

<プーチン氏の意向について見解を求められたバイデン氏
は、「彼(プーチン氏)が西側諸国を試すと思うか? アメリカ
とNATOを可能な限り試すと思うか? その質問への答えは
イエスだ。彼はそうすると思うが、深刻で高い代償を払うこと
になると思う」と述べた。

そして、「彼が動けば科すと私が約束したような制裁を、
彼はまだ目にしたことがない」と述べ、制裁の度合いは
侵攻の規模に左右されると付け加えた。>



要するに「経済制裁で対抗する」と。

これ、ウクライナの人たちにとっては悲劇ですが、
ロシアにとっても厳しいものになるはずです。

ちなみに2014年、ロシアがクリミアを併合し、
欧米日はロシアに制裁を科しました。

結果、ロシア経済の成長は止まった。

2014年~2020年のGDP成長率は、
平均0.38%にとどまっています。

ちなみに、2000~2008年は、年平均7%成長していました。

今回侵攻すれば、さらに厳しい制裁が科される。

どんな?


<「(ロシアの)銀行はドル取引ができなくなる」とも述べ、
軍事侵攻に対しては強力な経済制裁を発動する構えを
示した。>

(産経新聞1月20日)


「ロシアの銀行はドル取引ができなくなる」そうです。

これは、大変なことです。

ドルが基軸通貨だから。

たとえば、日本がサウジアラビアから原油を輸入する。

支払いは「円」でしょうか?

いえいえ、「ドル」ですね。


実際にこの制裁が科せられたとして、
ロシアがどこかの国から何かを輸入したい。

相手国は、ロシアルーブルを受け取ってくれますか?

無理でしょう。

では、輸出はどうでしょうか?

欧州への石油、ガス輸出は、
ユーロ決済でなんとかなりそうです。

中国への石油、ガス輸出は人民元決済でなんとかなりそうです。


いずれにしても
「ドルと交換できない通貨」になるルーブルは大暴落。

すると輸入品の値段は暴騰し、
ひどいインフレになりそうです。


まあ、実際に起こってみないとはっきりわかりませんが、
「ロシア経済はさらにボロボロになる」のは確かでしょう。

プーチンが、バイデンの脅しを深刻に受け止めて、
ウクライナ侵攻を止めてくればいいのですが・・・・。


しかし、私は、「クリミア併合」のことを思い出します。

当時、私はモスクワにいましたが、
ロシア人はみんな大喜びでした。

外国人の私は一人冷静で、「制裁くるよ」といった。

するとロシアの人たちは、「ロシアには、石油ガスがある。
核兵器もアメリカより多い。食糧だって自給できる。何も
おそれることはない!」

と元気いっぱいでした。

そして現在、制裁で、
案の定ロシア経済の成長はとまりました。

まあ、国民の反応はいいとしましょう。

問題は、プーチン自身が、

「クリミア併合で制裁を科され、
経済が全然成長しなくなること」

を予測できなかったことです。

いつもいっていますが、プーチンは「戦術家」で、

「目の前の勝利」だけに固執します。

でも「戦略家」ではないので、進めば進むほど、
勝てば勝つほど苦しくなる。

哀れウクライナ、哀れロシア国民。

近視眼的なリーダーは、みんなを不幸にします。



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