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【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.108
2021/11/28
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★ドラッカー「カリスマ」と「いい指導者」
全世界の裏RPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
偉大な経営学者ピーター・ドラッカーの
●「新しい現実」ピーター・ドラッカー
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を読んでいます。
ドラッカーさんは1909年、オーストリアで生まれました。
ユダヤ系です。
若いころはジャーナリストで、政権につく前のヒトラーに
インタビューしたこともあったとか。
1933年、反ユダヤ主義のヒトラーが政権をとったことを
恐れ、イギリスに移住。
1939年には、アメリカに移住しています。
アメリカでは、ベニントン大学、ニューヨーク大学、
クレアモント大学の教授を務めました。
ドラッカーさんは、「マネジメント」という概念を
発明したことで知られています。
私は1990年、モスクワに留学しました。
ドラッカーさんは、その時すでに大流行していた。
読んでみましたが、当時の私の頭では、
「難しすぎる」という印象だけが残りました。
今読み返してみると、とても面白く、
「30年経ったからな~」と思っています。
ドラッカーさんは、「新しい現実」の中で、第二次大戦と
その後の世界について、「自虐史観」に染まった私たちが
驚愕するような事を書いています。
<しかし、結局のところ最後に勝ったのは日本だった。
日本が採った道、つまり自らの主権の下に近代化、
すなわち西洋化を図るという道が、結局西洋を打ち負かした。
日本は西洋を取り込むことによって、西洋の支配を免れた。
軍事的には日本は第二次大戦において
歴史上最も決定的な敗北を喫した。
自ら植民地大国たらんとする政治的な野望は
達せられなかった。
しかし、その後の推移では、
政治的に敗北したのは西洋だった。
日本は西洋をアジアから追い出し、
西洋の植民地勢力の権威を失墜することに成功した。
その結果、西洋はアジア、次いでアフリカの西洋化された
非西洋世界に対する支配権を放棄せざるをえなくなった。
第二次大戦後、世界中の非西洋諸国が一八六八年の
明治維新において日本がつくりあげたモデルを範として
再出発した。いずれも自らの支配の下に西洋化を進めた。
まさに、これこそ反植民地主義が意味したものだった。>
(29p)
どうですか?
偉大な経営学者ドラッカーさんが、
「世界から植民地が消えたのは日本のおかげだ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
と断言しているのです。
いくらなんでも、ドラッカーさんを「ネトウヨだ!」と
よぶ人はいないでしょう。
▼ドラッカーの「いいリーダー像」
「新しい現実」は、元々1989年に出版された本です。
ソ連崩壊の2年前。
4章は、「ロシア帝国崩壊のとき」といいます。
要するに「ソ連は崩壊する」と。
これを読んだキッシンジャーは、
「ドラッカーは頭がおかしくなったらしい」と批判したそうです。
しかし、結局ドラッカーさんの方が正しかった。
この本、32年経った今でも、まったく古さを感じさせません。
「時事ネタ」より「普遍的な話」が多いからでしょう。
ドラッカーさん、「リーダー」について面白い話をしています。
リーダーというと、「カリスマが必要だ」といいますね。
しかし、彼は、「カリスマはいらない」と断言している。
<新しい現実を踏まえた政治のモットーは、
カリスマを警戒せよでなければならない。
(中略)
今日、カリスマ待望は政治的自殺願望にすぎない。
二○世紀ほどカリスマに恵まれた世紀はなかったし、
二○世紀の四人のカリスマほど、
政治的なリーダーが害をなしたこともない。
スターリン、ムッソリーニ、ヒトラー、毛沢東である。
われわれにとって重要なことは、
カリスマ性の有無ではない。
重要なことは、政治のリーダーが正しい方向に行くか、
間違った方向に行くかである。>(119~120p)
いわれてみると、「そうだよな~」と思います。
スターリン、ムッソリーニ、ヒトラー、毛沢東は、
いずれも、自国で
「神のごとく崇められた」
という共通点があります。
「現代のカリスマ」というと、誰でしょうか?
たとえば、プーチン。
プーチンを「カリスマ」と思うかどうかは、
意見がわかれるでしょう。
しかし、日本でも一部の人は、プーチンについて
「グローバリストと戦うナショナリストの英雄」
と考えているようです。
ですが、ドラッカーさんだったら、
「プーチンは害をなすカリスマ」と呼ぶでしょう。
そして、ドラッカーさんは、
「カリスマ」についてこんなことをいっています。
<今日の状況下では、カリスマは間違ったリーダーシップ
を発揮せざるをえない。
新しい現実に向かってではなく、過去に向かって進まざる
えない。>(120p)
32年前の言葉です。
私は、これを読みながら、習近平のことを思い出しました。
習近平は、「カリスマ的な人」とはいえませんが、誰より
も
「カリスマになりたい!」という意志はあるようです。
彼は、憲法を改定し、「終身国家主席」への道を開いた。
さらに学校では、「習近平思想」が教えられはじめた。
カリスマ願望が強すぎる彼は、ドラッカーさんがいうように、
「新しい現実に向かってではなく、
過去に向かって進まざるえない」
ようです。
彼は、中国をGDP世界2位に押し上げたトウ小平時代を否定し、
中国を大混乱させ、経済を30年間停滞させた毛沢東時代に
戻っている。
まさに「過去に向かって進まざるをえない」ですね。
では、ドラッカーさんは、どのような人を
「いいリーダー」と考えているのでしょうか?
<今日カリスマ的リーダーはまったく不要である。
目を見張らせることなく、
劇的でもなく、
退屈なだけの存在であっても、
波風を立てることのない有能さのほうが、
はるかに望ましい。>(121p)
この部分を読んで、私はもうすぐ引退する
ドイツのメルケルさんのことを思い出しました。
ドイツで、2005年から16年間首相を務めた。
民主主義国ドイツで、この長さは、尋常ではありません。
中国やロシアの長期政権とはわけが違います。
メルケルさん、私は二つ大きな間違いを犯したと思います。
一つは、中国に接近しすぎたこと。
もう一つは、難民をいれすぎたこと。
2015年は、1年間で100万人以上の難民を受け入れたそうで
す。
それでも、彼女は16年首相をつとめ、
「EUは、実質ドイツ帝国」と揶揄されるほど
強力なポジションを築きあげました。
「退屈な存在」といえば、岸田さんもかつては、
「話が退屈すぎる」といわれていました。
話が退屈でもいいので、日本の安全を守り、
経済的繁栄を取り戻してほしいと思います。
皆さんも、この本で「世界最高の知性」に
触れてみてください。
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