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     【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.107


                      2021/10/25


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★日米戦争勃発を32年前に予測した日本人予言者




全世界の裏RPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。


この世界には、「予言者」といわれる人たちがいます。

代表的なのはノストラダムスでしょうか。

「予言者」は、霊能力とか占星術などを使い、未来を予測
します。

そして、あるとき、「この人の予言すげえ!」と流行になる。

ですが、流行になった後も「当てつづける人」は、
正直みたことがありません。

たとえば、ノストラダムスといえば、


<1999の年、7の月、
空から恐怖の大王が降ってくる。
アンゴルモアの大王を復活させるために、
その前後の期間、マルスは幸福の名のもとに
支配に乗り出すだろう。>


ですね。

私が子供の頃、ノストラダムスが大流行し、「1999年に人
類は滅亡するらしい」と信じている人たちがたくさんいま
した。

私は1999年7月、彼女(今の妻)とサンクト・ペテルブルグ
にいて、

「何が起こるのかな?」と、ドキドキしていた。

しかし、皆さんもご存知のように、何も起こらず、私たち
は、今も元気に暮らしています。



▼学者という予言者たち



ところで、世の中には、「予言者」と呼ばれる別の
カテゴリーの人たちもいます。

そう「超優秀な学者」というカテゴリーの「予言者」です。


たとえば、「地政学の父」と呼ばれるイギリス人地理学者
マッキンダーは、第一次大戦が終結した直後の1919年、

ドイツから冷酷無慈悲な独裁者と組織が現れ、再び大戦争
になると予言しました。

そして、実際にヒトラーとナチスが現れた。


マッキンダーは2次大戦中の1943年、米英ソ側が
ナチスドイツに勝利し、

ドイツは以後脅威にならないと予測し、実際そうなりました。



オランダ系アメリカ人地政学者のスパイクマンも有名です。

彼は1941年12月、つまり日本が真珠湾攻撃をした直後、


「この戦争が終わったら、日本と同盟を組んでソ連と対峙
しなければならない」


と発言し、世界を仰天させました。

そして、彼は1942年時点で、「中国が将来、
アメリカの脅威になる」と断言していました。

現在の状況を、完全に予見していたのです。


フランス人人類学者のエマニュエル・トッドさんも、
「予言者」と呼ばれることが多いです。

この方は、1970年代に「ソ連崩壊」を予測。

さらに「アメリカの没落」「イギリスのEU離脱」などを
予測しました。


霊能力や占星術を使う予言者。

学者の予言者。

違いは何でしょうか?


学者の予言者には、根拠とロジックがきちんと存在してい
ることでしょう。



▼日本人予言者



日本人の予言者もいます。

日本人で初めてイェール大学の教授になった朝河貫一さん
です。

私も最近まで知らなかったのですが、リアルインサイトの
今堀さんに推薦されて、彼の本を読んでみたのです。


朝河さんは、1909年に出版された


●日本の禍機 朝河貫一

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の中で。


・将来、日本と中国の戦争が起こる

・日本とアメリカの戦争が起こる

・その時、日英同盟は、破棄されている

・その時、日本は、私曲(不正な手段で
 自身の利益のみ追求する)の国として、
 世界的に孤立している


と予測しているのです。

日本は1905年、イギリスとアメリカの支援を受けて、
日露戦争に勝利しています。

その4年後に朝河さんは、上記の予測をしている。

驚くべき予言力です。


朝河さんによると、日本とアメリカは、日露戦争前の半世
紀間、「兄弟のごとく親交」していたそうです。(151p)

そんなアメリカは、なぜ「反日」に転じたのでしょうか?

朝河さんによると、日本が日露戦争時の大義、約束を破っ
たことにある。

それは、なんでしょうか?

世界一の陸軍国ロシアと戦う日本。

一国では勝てないので、仲間が必要です。

日本の仲間は、日英同盟のイギリスと、満洲利権に入りこ
みたいアメリカでした。

中国(当時は清)への進出が遅れたアメリカは当時、中国
について、「門戸開放」「機会均等」「領土保全」を訴え
ていました。

日本は日露戦争を戦うにあたって、


「アメリカの主張を無視しているのがロシア帝国です。
日本が勝てば、満洲の門戸開放、機会均等を実現します!」


と約束しました。

この約束をもって、アメリカから巨額の財政支援をとりつけた。

しかし、日本は戦勝後、満洲利権の独占に動き、アメリカ
を排除しました。

これで「兄弟のごとし」だったアメリカの対日感情は大い
に悪化。

朝河さんは、「日本は今後孤立し、中国、アメリカと戦う
ことになるだろう」と予想するに至ったのです。

ちなみに日中戦争は1937年、日米戦争は1941年に勃発して
います。

つまり朝河さんは28年後、32年後に起こることを、
正確に予測していたことになります。


朝河さんは、なぜ将来起こることを予知できたのでしょうか?

アメリカに住み、エリートが集まるイェール大学にいたか
らでしょう。


日露戦争前、日米関係は良好だった。

ところが、日露戦争後、アメリカで反日が強まった。

その理由は、日本がアメリカを満洲利権からはずしたこと。


日本国内にいる日本人は、この変化に気づけなかったのですね。

それで、朝河さんの危惧した通りに歴史が進んでしまった。


私たちは、「自虐史観」に染まっていません。

ですが、「日本がしたことは全部正しかった」とも思いません。

もしそうなら、日本が戦争に負けるのはおかしいでしょう。


私たちは、「日本は良い国」「日本民族は良い民族」と
知った上で、

「なぜ負けたのだろう?」と問いかけます。


そして朝河さんが、「アメリカ人の対日観は、日露戦争後
ものすごく変わった。

このままだと日本とアメリカは戦争になる。

しかも日本は悪者にされるよ」

と警告していたことを知るのです。


私たちが過去を学ぶのは、歴史の教訓を現在に活かすためです。


日本人予言者・朝河貫一。

文体は古いですが、読む価値はあります。


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皆さんも是非、「予言者のロジック」「予言者の頭の中」
を学んでみてください。

きっと、「こういう風に考えると未来が予測できるのだ
な」と気づくことでしょう。



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