◆ 北野の絶対お勧め本 − ■日本でいちばん大切にしたい会社

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■50年間リストラなしで、48年間増収増益の奇跡!G2(米中)時代に、日本人と日本企業がサバイバルする方法とは?北野絶対お勧め、経営者・起業家・ビジネスマン必読、日本人の新バイブルとは?


ここ数年で世界は大きく変わりました。

アメリカの一極時代が終わった。

新しい体制はまだできていません。
しかし、アメリカは「G2(米中)で新しい世界秩序をつくろう」なんていっています。

「え〜〜〜日本は?」

今回は、激変する世界環境の中で、
日本人や日本企業はどうサバイバルしたらいいのか考えてみましょう。

日本がおかれた立場

まず、日本がおかれている立場について考えてみましょう。

1940年代、日本は原爆を落とされ焼け野原になりました。
1950年代、日本は「朝鮮戦争特需」などで、復興の契機をつかみました。
1960年代、日本は「安かろう悪かろう」といわれながらも、世界市場に進出していきました。
1970年代、日本は「世界の工場」になりました。
1980年代、日本は全世界が認める、「世界1の経済大国」になりました。

1945〜1990年の日本は、まさに
「奇跡の復活」の歴史。
世界の称賛の的だったのです。

私もいろいろな国に行きましたが、「日本の戦後復興は奇跡だ!」と多くの国でほめられます。
この当時、日本企業は何を考えていたのでしょうか?

松下幸之助さんは、著書「私の行き方考え方」(→詳細は)
↑(名著です。ご一読ください。)
の中で、メーカーの役割について以下のように書いています。

「生産者の使命は貴重なる生活物資を、水道の水のごとく無尽蔵たらしめることである。いかに貴重なるものでも量を多くして、無代に等しい価格をもって提供することにある。かくしてこそ貧は除かれていく」

つまり、生産者の使命は、

第1に超大量生産し、
第2にそれにより価格を下げ、
第3に貧困を世界からなくすことだと。

1970〜1980年代、日本企業のミッションは明らかであり、経営者にジレンマはなかったのでしょう。
ところが・・・。

1990年代は、バブル崩壊で「暗黒の10年」。
この期間、1960年代の日本のごとく、「安かろう悪かろう」で影響力をましてきた国がありました。それが中国。

2000年代、日本は「小泉改革」で復活を図るも失敗。後を引き継いだ安倍、福田、麻生政権は短命に終わり、民主党政権が発足。

小泉改革とはなんだったのでしょうか?実をいうと、日本が新世紀に直面した問題は、アメリカが70年代に経験ずみでした。
それは、
「他の国に『世界の工場』の地位を奪われる」という問題。

アメリカは1970年代、世界の工場の地位を日本に奪われた。日本は、中国に「世界の工場」の地位を奪われた。

アメリカは70年代、「暗黒の10年」を過ごしながら、次の道を模索していました。80年代になると、レーガンさんは「もう製造業はやめよう。これからは金融で食っていこう!」と宣言した。
そして、アメリカ経済は大復活を遂げました。(遂げたようにみえた。)
同じ立場に立たされた小泉さんも、レーガンさんの真似をして日本を再建しようとします。
そう、日本は「世界の工場」をやめて「金融立国」になりましょうと。
ところが、日本で小泉流・新自由主義は受け入れられませんでした。
「格差社会をつくった!」「下流社会をつくった!」「地方を切り捨てた!」と国民の不満は爆発。
それが、政権交代につながった。

まあ、「金融立国」アメリカが今回の危機の震源地ですから、日本が「金融立国」になりきれなくてよかったのでしょう。

そして、今の世界は?
世界経済は、「世界の工場」中国と「世界最大の消費国」アメリカを中心に回っています。

日本は?
アメリカは、世界の工場の地位を日本に奪われた後、自国のポジションを見つけました。
しかし、「金融立国化」に失敗した
日本は、いまだアイデンティティークライシスの真っ最中なのです。

■中国と競争する愚かさ

なぜ日本は中国に「世界の工場」の地位を奪われたのでしょうか?
そう、
中国は人件費が安いからです。
今年(09年)か来年にはGDPで日本を抜き、世界2位に浮上する中国。
それでも、この国の一人当たりのGDPは3000ドル。
平均月収は22500円くらいということでしょう。
(上海や北京などは4倍〜高い。)

こんな国と日本が競争して勝てるはずがありません。
それでも社長が「おれは中国企業に勝つぞ!」と考えている会社の社員は不幸です。中国に勝とうとすれば、「超低賃金」で「超長時間労働」をさせるしか、道がない。それでも、勝つことはできないでしょう。

もっともポピュラーな道は、労働力が安い中国に工場を建ててしまうこと。
多くの企業がそうしています。

企業にとっては、確かによい解決策。しかし、
日本国の観点からみると、企業がどんどん中国に逃げて行くのは一銭の得にもなりません。

メーカーA社が中国に工場を建てた。

この時中国は、
・工場ができ、雇用が増える
・工場ができ、税収が増える

一方日本は、
・雇用が減る
・税収が減る

このように、企業にとって最善の行動が日本国全体にとってマイナスになることもあります。

国全体のことを考えれば、日本企業は
1、日本にとどまり
2、中国と競合しない製品をつくる

のが一番いいのですね。

「そんなのキレイゴトだ!そんな甘いこといってちゃやってけないぞ!」
それでもやっていける方法を、ご紹介します。
今回のテキストは、坂本光司先生の

「日本でいちばん大切にしたい会社」(詳細は→)

この本は、
経営者・起業家・ビジネスマンのバイブルになること間違いなしです。後悔しないこと、北野が保証しますので、迷わずご一読ください。

■脅威の48年増収・増益

ご紹介するのは、わが長野県の誇り
「伊那食品工業株式会社」。

この会社がつくっているのは、「寒天」です。
寒天って何?

<寒天(かんてん)は、テングサ(天草)、オゴノリなどの紅藻類の粘液質を凍結・乾燥したものである。一般に売られている寒天は、冬の寒冷地で自然凍結と天日乾燥を繰り返して作られている。>

<菓子の材料に用いられる他、ほとんどカロリーがないこと、腸において油や糖分の吸収をさまたげることから、ダイエット食品として、また、前述のアガロオリゴ糖に着目した健康食品としても注目されている。>(ウキペディア)

「江戸時代」にできた物ですよ。
商品のライフサイクルでいえば、完全な「衰退期」でしょう。
しかし伊那食品工業は、なんと

【48年連続で増収増益】

という驚異の記録をもっている。しかも、

【50年間リストラなし!】

さらに、

【国内シェア80%!世界シェア15%!】

この分野では、
日本一、世界的大手なのですね。

一体、伊那食品工業の経営の秘密はなんなのでしょうか?

■伊那食品工業の社是とは?

どんな会社にも、社是があります。
会社の「使命」「ミッション」でしょうか。

伊那食品工業の社是はなんなのでしょうか?

< いい会社をつくりましょう >(伊那食品工業 社是)

「・・・・・・・・それだけ?キレイゴトにもなってないぞ」補足の文章が書いてあるそうです。

<いい会社とは、単に経営上の数字ではなく、会社を取り巻くすべての人々が、『いい会社だね』と言ってくださる会社のこと>

これは、言うは易く、行うは難し。
ほとんどの会社が立派な社是をかかげています。
しかし、不況になるととたんにリストラをし、残った社員にも減給を強制する。
リストラされた社員は、「あの会社は『いい会社だね!』とはいわないでしょう。

伊那食品工業についていえば、
まじめに「いい会社つくり」をめざしている証拠があります。

「50年間リストラをしていない」。


リストラについて同社の塚越社長はこう語ります。

<「そのような経営は間違っています。
小社はこれまでも、また
これからも社員のリストラはやりません。
なぜなら小社にとって、
人件費はコストではないからです。
人件費は目的である社員の幸福を実現するための生活費だからです・・・・・・・」 >

え〜、目的は「利益をあげること」ではなく、
「社員の幸福を実現すること」なのですか!?伊那食品工業は実際にそれを実現している。

その秘密を聞いてみましょう。

■無理な成長を追わない

社是を実現するために、伊那食品工業には三つの経営方針があります。

一つ目は、「無理な成長は追わない」

です。
普通の会社は、景気がいいときドカンと生産を増やします。
生産を増やすために、ジャンジャン人も採用する。

ところが、景気には波がある。
たとえば06年と08年では、全然違う世界のようですね。
それで、「06年はジャンジャン採用しましたが、08年からはドンドンリストラします」なんてことになる。
伊那食品工業は、
無理な成長を追わないおかげで、景気の波にあまり左右されない。だからリストラなしで48年間増収・増益をつづけてこられた。

この経営方針に従い、伊那食品工業は、全国展開している大手スーパーが「売らせてほしい」といってきても、断るそうです。

そういえば、スイスの大手時計メーカーの幹部が数年前、
「100年繁栄しつづけるコツ」を教えてくれました。
その会社は、好況時でも20%くらいしか増産しない。
不況になると20%くらい減産する。
規模を追求しないので、高品質が保たれる。
大量生産しないので、ブランドイメージが高く、利益率が高い。
中国で現地生産なんて「とんでもない!」といっていました。

私たちは、異常に景気のいい状態を「バブル」「バブル」と呼びます。
バブルとは「泡」のことで、「すぐにはじける」という意味がある。
それでも普通の人は欲に負けて、「大増産だ!」と走ってしまいます。
これからの日本企業は、伊那食品工業を見習った方がサバイバルできるかもしれません。

■オンリーワンで「敵をつくらない」

経営方針の二つ目は、

「敵をつくらない」

です。
敵といえば、同業他社ですよね〜。
しかし、伊那食品工業の社是にはこうある。

<いい会社とは、単に経営上の数字ではなく、
会社を取り巻くすべての人々が、『いい会社だね』と言ってくださる会社のこと>

「会社を取り巻くすべての人々」の中には、
同業他社も含まれるというのが、伊那食品工業の考えなのです。

敵をつくらない=他社と競争しない方法はあるのでしょうか?
あります。
他社がつくらず、お客様が欲しがる商品をつくればいい。

要するに
オンリーワンになればいい。

日本企業も「どうすれば中国に勝てるかな?」ではなく、
「中国がつくれない製品をつくろう」「ナンバーワンではなく、オンリーワンを目指そう」と考えた方がよいのかもしれません。

■成長の種まきをおこたらない

経営方針の三つ目は、

「成長の種まき怠らない」

です。

坂本先生は、塚越会長にこんな質問をしました。

<「なぜ、こんなに長期にわたって安定的に成長ができるのですか?
なぜ、伊那食品工業では次から次に新商品ができるのですか?」>

すると会長は、即座に、

<「会社を継続させるための、成長の種まきをしているからだと思います」>

と答えました。

寒天という江戸時代からあるものでも、「研究開発」と「未来投資」をしつづけ、常に新しいものを出していく。
そして会長は、坂本先生にこう言いました。

<「成長するのも利益をあげるのも、会社を継続させるためです。なぜ継続させるのかといえば、社員を幸せにするためです。」>

■会長・座右の銘は?

社是と経営方針を見てきましたが、塚越会長が生きる指針にしておられる
座右の銘があります。

それは、
二宮尊徳さんのこんな言葉でした。

<遠くをはかる者は富み
近くをはかる者は貧す
それ遠きをはかる者は百年のために杉苗を植う。
まして春まきて秋実る物においてや。
故に富あり。

近くをはかる者は
春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず
唯眼前の利に迷うてまかずして取り
植えずして刈り取る事のみ眼につく。
故に貧窮す。>


塚越会長と伊那食品工業の歩みは、
「遠きをはかるもの」の歩みですね。なんだか今回は「キレイゴト」のような話でしたが、実はキレイゴトではありません。なんといっても、

・48年増収増益
・50年間リストラなし
・国内シェア80%

という圧倒的実績に裏付けされている。


このような会社が増えてくれば、
日本は中国と戦わず、恐れず、独自の尊敬されるポジションを確保できるのかもしれません。

今回は紙面の関係で「伊那食品工業」だけをご紹介させていただきました。
しかし、坂本光司先生の本には、不況をものともせずがんばっている
すばらしい日本企業の事例が山盛りです。

経営者・起業家・ビジネスマンの方は、是非ともご一読ください。
その他の人々が読まれても、必ず役に立つこと間違いなしです。

「日本でいちばん大切にしたい会社」(詳細は→)



   

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