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     【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.132


                      2023/4/20


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★世界4大国の未来



全世界の裏RPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。



「リアリズムの神」ミアシャイマーさんは、

「世界に大国は、三つしかない」

と語っています。

すなわち、アメリカ、中国、ロシアです。

「国家ライフサイクル」で見ると、
この3国の未来はどうなのでしょうか?


まず、アメリカ。

私の一冊目の本は、『ボロボロになった覇権国家アメリカ』です。

2005年発売。

この本の最重要部分を超簡単にいうと、


「アメリカ発の危機が起こって、アメリカは没落する」


です。

実際2008年、アメリカ発で「100年に1度」といわれる
危機が起こりました。

これで、1991年12月のソ連崩壊ではじまった


「アメリカ一極時代」


が終わったのです。

その後、「米中二極時代」がはじまりました。

さて、アメリカは、今後どうなっていくのでしょうか?

私の予測は、「ゆっくり衰退していく」です。


19世紀、イギリスは覇権国家でした。

世界一広大な植民地を持ち、「日の沈まない国」と呼ばれていた。

20世紀、イギリスは、第一次大戦、第二次大戦で勝利しました。

しかし、第二次大戦後、世界中の植民地を失い衰退したのです。


アメリカは、イギリスから覇権を引き継ぎました。

20世紀は、アメリカの世紀。

しかし、19世紀の覇権国家イギリスが、20世紀に衰退したように、

20世紀の覇権国家アメリカは、21世紀衰退していきます。



中国。

中国についても、
05年出版『ボロボロになった覇権国家アメリカ』で書いています。

要点をいえば、


「中国は、08年〜10年に起こる危機を短期間で克服して
成長をつづける。」

「しかし、中国の急成長は、2020年まで。」


です。

実際、08年に危機が起こりました。

そして、中国は、短期間で危機を克服しました。

(ちなみに当時は、08年の北京オリンピック、10年の上海万
博後バブルがはじけ、中国は崩壊するという説が流行って
いました。)


さらに、中国経済の高成長は、2020年頃終わりました。

すべて予測通りなっています。

では、中国は今後、どうなっていくのでしょうか?


まず、中国は2020年、国家ライフサイクルで、
高成長の成長期から低成長の成熟期に移行している。

人口が減少に転じている。

というわけで、「長期衰退トレンド」に入っています。

短期的には、恒大ショックからつづく、不動産バブル崩壊。

習近平は、経済を奇跡的に成長させたトウ小平ではなく、
毛沢東を目指している。

つまり、経済音痴。

というわけで、長期的にも短期的にも暗いです。



ロシア。

ロシアの国家ライフサイクルについては、2冊目の本


『中国ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日』


(2007年発売)で触れました。

簡単にいうと、ロシアの絶頂期は、ソ連時代でした。

ソ連時代、ロシアは14共和国を直接支配していた。

東欧、中国、北朝鮮、東南アジア諸国、中南米、アフリカ
諸国を共産化させた。


それで私は、「新生ロシアは、超大国に返り咲けない」と
予測しました。

ちなみに当時、ロシア経済は原油高で絶好調。

プーチンは、「ルーブルを世界通貨にする!」などと
増長していたのです。

しかし、今のロシアは、どうでしょう?

ロシアは、国家ライフサイクル的に成長するのが難しい。

さらに、プーチンの「人災」が加わり、
急速に影響力を低下させています。

ウクライナ侵攻前、ロシアは、少なくとも
「旧ソ連諸国の盟主」でした。

しかし、ウクライナ侵攻開始後、旧ソ連諸国が
ロシアの影響圏から去っています。

東を見ると、ウクライナ、モルドバが、EUに加盟申請しました。

西南を見ると、ジョージアもEUに加盟申請した。

アルメニアは、ロシアを中心とする軍事同盟
CSTOから離脱する方針です。

なぜ?

2022年9月、隣国アゼルバイジャンと戦争状態になりました。

アルメニアは、CSTOのリーダーであるロシアに支援をもとめた。

ところがプーチンは、アルメニアを助けなかったのです。

アルメニアは激怒して、離脱にむけて動き始めました。


アゼルバイジャンは、ロシアから離れてトルコに接近しています。

中央アジア諸国は、ロシアから離れ、中国に接近しています。


というわけで、ロシア。

この国は、国家ライフサイクルでピークを過ぎている。

さらに、プーチンの人災で、急速に衰退している。


3国を見ると、いずれも衰退トレンドであることがわかります。


ところで、今回の件名は、


「世界4大国の未来」です。


なぜ3大国ではなく、4大国なのでしょうか?


答えは、「4番目の大国が登場するから」です。

4番目の大国は、インドです。

私はインドについて、2014年発売の


◆『クレムリン・メソッド』

詳細は↓
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で触れました。

あれから9年経ちましたが、予想通りの展開になっています。

インド。

この国の未来は明るいといえます。

なぜでしょうか?

大国の条件は、人口、経済力、軍事力の三つです。


インドは、「すでに人口世界一」という話もあります。

国連は、「今年半ばに世界一になる」としています。

朝日新聞DIGITAL4月20日。



<国連人口基金(UNFPA)は19日、世界人口白書で、
インドの人口が今年半ばの時点で中国を290万人上回り、
世界一になるとの推計を発表した。
人口は14億2860万人になるといい、更なる経済成長
が期待される。>



中国の人口は、2022年から減少に転じました。

一方、インドの人口は、これからも増加しつづけていきます。


経済力。

インドは2022年時点で、GDP世界5位です。

しかし、一人当たりGDPは、2379ドルで世界145位。

平均月収はだいたい25000円でしょう。

つまり「かなり貧しい」。

別の言葉で、「人件費が安いので、生産拠点として魅力が高い」。

あるいは、「ノビシロがものすごい」ともいえます。


一方、中国の一人当たりGDPは、12813ドルで66位。

平均月収は13万8000円ぐらいでしょう。

まだまだ貧しいですが、それでもインドの5.5倍です。

企業や投資家から見ると、
「高くて魅力がない」ということでしょう。

インドはこれからも成長つづけ、
「世界一の経済大国」になる可能性が高いです。


軍事力。

インドの軍事費は2021年時点で、アメリカ、中国に次いで
世界3位です。

経済成長に伴って、インドは軍事費を増やしていく。

アメリカ、中国に並ぶ軍事大国になるのは、
間違いないでしょう。


というわけで、近い将来インドが、アメリカ、中国に
並ぶ大国になっていきます。

しかも、国家ライフサイクルを見ると、この3国の中で、

「インドがもっとも有利」なのです。



世界3大投資家のジム・ロジャーズは、


「19世紀はイギリスの時代。

20世紀はアメリカの時代。

21世紀は中国の時代。」


と主張しています。

しかし、現実には、


「19世紀はイギリスの時代。

20世紀はアメリカの時代。

21世紀はインドの時代。」


となる可能性が高いのです。




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○メールマガジン「【裏】ロシア政治経済ジャーナル」


発行者 北野 幸伯


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